六訂版 家庭医学大全科 「膀胱憩室」の解説
膀胱憩室
ぼうこうけいしつ
Vesical diverticulum
(腎臓と尿路の病気)
どんな病気か・原因は何か
膀胱の一部が膀胱外に突出したものです。
膀胱から尿道口までに、何らかの通過障害があって膀胱内の圧力が高まった時に、膀胱壁の一部に圧力に弱い部位があると、その部分が膀胱外に突出して憩室と呼ばれる状態になります。
原因としては、
症状の現れ方
憩室は、長い時間をかけて次第に大きくなります。憩室内に尿がたまるため、繰り返す膀胱炎、憩室内の結石、憩室炎などの原因となり、
検査と診断
排泄性尿路造影や膀胱造影、超音波検査などで診断します。膀胱憩室が認められた場合には、膀胱鏡検査で憩室の入口や、可能であればその内部を観察します。これは、前述のように憩室内に結石ができる以外に、膀胱憩室では悪性腫瘍が発生することがあるためです。
治療の方法
憩室が小さくて自覚症状もなく、膀胱炎、憩室内の結石、憩室炎などの合併症がなければ経過観察します。
ある程度の大きさがあるものや、強い自覚症状、合併症のある場合には手術が考慮され、多くの場合は内視鏡による電気凝固で治療します。悪性腫瘍を合併している場合には開腹手術が必要です。
病気に気づいたらどうする
頻尿、排尿時の疼痛、尿の混濁、残尿感、下腹部違和感など膀胱炎の症状がある時には、膀胱憩室を始め何らかの原因が存在する場合があります。
膀胱炎症状が長く続く時や繰り返す時には、泌尿器科を受診するようにしてください。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報