膿皮症(読み)のうひしょう(英語表記)(Pyoderma)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「膿皮症」の意味・わかりやすい解説

膿皮症
のうひしょう

化膿菌であるブドウ球菌連鎖球菌外部から皮膚に侵入し、化膿性変化をおこす皮膚疾患。ジフテリア菌緑膿菌真菌などによっても化膿性変化がおこるが、これら疾患や全身性感染によるものは通常、膿皮症には含まれない。膿皮症の種類としては、「毛嚢炎(もうのうえん)」(毛包炎)、「癤(せつ)」「よう」「汗腺炎(かんせんえん)」「伝染性膿痂疹」「丹毒」などがあり、それぞれの項を参照のこと。

[野波英一郎]

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家庭医学館 「膿皮症」の解説

のうひしょう【膿皮症 (Pyoderma)】

 膿皮症とは、皮膚が化膿(かのう)する病気の総称です。細菌感染によるもの以外にも膿皮症の名称のついた病名がありますが、単に「膿皮症」という場合は、黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)、化膿(かのう)レンサ球菌などに代表される化膿菌による皮膚感染症をさします。細菌による皮膚感染症には、膿皮症のほかに、皮膚結核(ひふけっかく)、ハンセン病などがありますが、膿皮症がもっとも多くみられます。
 膿皮症のなかには、あせものより、癤(せつ)、癰(よう)のように膿汁(のうじゅう)がたまる病気はもちろん、膿痂疹(のうかしん)(とびひ)、蜂巣炎(ほうそうえん)、丹毒(たんどく)などが含まれます。
 慢性膿皮症(まんせいのうひしょう)というのは、最初は毛孔(もうこう)が閉塞(へいそく)して皮膚内に袋ができたものですが、経過するうちに、赤く腫(は)れ、膿汁(のうじゅう)がたまってきます。この時点で、皮膚の表面や毛孔に常在している表皮(ひょうひ)ブドウ球菌や痤瘡桿菌(ざそうかんきん)による感染をおこしていると考えられるため、これも膿皮症に含まれます。

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