(読み)せつ(英語表記)furuncle; furunculus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


せつ
furuncle; furunculus

いわゆるおできのこと。毛包組織の化膿性病変で,毛包性小丘疹で始り,発赤,浸潤,腫脹し,頂点に膿栓のある膿瘍を形成する。自発痛,圧痛,局所熱感を伴う。所属リンパ節炎を合併することがある。膿栓が排出されると排膿がみられ,軽快する。コアグラーゼ陽性,黄色ブドウ球菌感染によることが多い。顔面,特に中央部に生じるものは重症で,面疔と呼ばれる。発熱を伴うこともある。かつては面に化膿性脳膜炎を併発することがあったが,抗生物質の発達によりほとんどみられなくなった。 癤が次々と続発し,新旧各種の病変が混在してあとを断たないような状態は 癤腫症という。背景に糖尿病,栄養不良その他,免疫不全を起すような疾患が存在することが多い。また,癤が身体のある部位に限局して多発したものは (よう) という。好発部位は後頭部で,患部一帯が発赤,腫脹し,自発痛,圧痛が著しく,所属リンパ節炎を合併し,発熱する。壮年以後の糖尿病患者にみられることが多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

せつ【癤 furuncle】

黄色ブドウ球菌の感染によって発症する膿皮症の一種。俗に疔(ちよう)ともいう。本質的には毛囊炎と同じであるが,臨床的には病巣の大きさで分けられ,毛包周囲から皮下組織まで炎症が波及し,毛包,脂腺の破壊が著しく,汗腺も二次的に破壊されたものをいう。毛包に一致した紅色の丘疹で始まり,しだいに発赤,腫張,圧痛を伴う硬結となり,頂点に膿栓を形成する。これが破れて排膿すると急速に治癒するが,ときに発熱,所属リンパ節炎を併発することもある。

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大辞林 第三版の解説

せつ【癤】

黄色ブドウ球菌の感染によるできもの。一つの毛包もうほうの化膿性炎症。フルンケル。 → よう

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


せつ

(ちょう)ともいい、俗におでき、ねぶと、かたねなどとよばれる。毛孔から化膿(かのう)菌の黄色ブドウ球菌が感染して、毛包、脂腺(しせん)に化膿性炎症をおこしたもので、毛孔を中心として赤い地腫(じば)れを生じ、痛みが激しい。化膿が進むと中央が軟化し、破れて黄白色の膿栓を排出し、急速に痛みや腫れが引いて治る。発熱、悪寒、リンパ管炎、リンパ節炎を伴うことがある。顔に生じたは面疔とよばれ、口唇や瞼(まぶた)にできると腫れがひどくなり、口や目があけられなくなる。また静脈炎や髄膜炎を続発することがあったが、抗生物質療法により今日ではほとんどみられなくなった。が次々に多発するものを腫症(せつしゅしょう)という。糖尿病のときやの不完全な治療の場合に多い。の治療には安静がたいせつで、圧迫したりひっかいたりすると症状を悪化させる。抗生物質軟膏(なんこう)をはり、水道水で冷湿布するのがよい。切開は十分に化膿してから行うが、現在では早期に抗生物質を内服すると化膿が進まずに治ることが多い。[野波英一郎]

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世界大百科事典内のの言及

【癰】より

…数個以上の近接した毛包に黄色ブドウ球菌が感染して化膿性炎症が生じたもの。集合性の(せつ)と考えられているが,癤が毛包から皮下組織へと炎症が進むのに対し,逆に皮膚深層に初発変化が起こって表層へと波及してくるものもある。発赤と腫張が著しい隆起性局面を生じ,その上に点々と膿栓を生じる。…

※「癤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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