連鎖球菌の感染によって起こる皮膚の浅いところ(
化膿
突然、高い熱、
顔(とくに頬・耳・眼のまわり)、下肢、上肢、手足に多くみられ、近くのリンパ節がはれて痛みがあるのが普通です。
適切な治療により、1週間前後で表面の皮がはがれてきて治りますが、正しい治療が行われないと、
血液検査では、白血球が増え、CRP(炎症検査の項目)の上昇、赤沈の亢進がみられます。連鎖球菌に対する抗体(ASO、ASK)が上昇することがあります。蜂窩織炎との区別は必ずしもはっきりしませんが、蜂窩織炎は丹毒より深い部分の皮下脂肪組織での化膿性炎症で、主に黄色ブドウ球菌によって起こります。
そのほか、接触皮膚炎(かぶれ)や虫刺されなどとも区別が必要ですが、それぞれの症状から区別できます。
主に化膿連鎖球菌が原因ですから、ペニシリン系抗菌薬の内服または注射が第一選択になります。再発予防や腎炎の併発も考えて、よくなってからも約10日間は抗菌薬を内服します。丹毒の部分は安静にして冷湿布をします。
多田 讓治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
化膿性連鎖球菌,ときにブドウ球菌,肺炎菌などの感染によって起こる,皮膚または粘膜表層の急性炎症。病原菌はおもに傷口から侵入し,15~60時間の潜伏期を経て発症する。好発部位は,頭部,顔面のほか,下腿や外陰部など外傷を受けやすい部分の皮膚,鼻,口腔内の粘膜などである。突然,悪寒・戦慄を伴った高熱で発症し,同時に皮膚が発赤し腫張する。皮膚の発赤は境界が鮮明な鮮紅色で,灼熱感と圧痛がある。腫張は軽いが,充実性で,ときとしてその表面は水疱を形成したり,かさぶたとなったり,壊疽(えそ)になったりする。抗生物質が発達した今日では,新生児,衰弱者,肝硬変患者などを除くと予後良好であるが,以前は脳膜炎,肺炎,敗血症などを合併して重症となることが多かったため,皮膚病変の特徴的な色合いから丹毒(丹は赤い色の意)と命名され,恐れられた。治療には,サルファ剤,抗生物質による全身療法と,ホウ酸水やリバノールによる局所の湿布が併用される。
執筆者:小野 美貴子
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化膿(かのう)菌の一つである連鎖球菌が皮膚に感染し真皮内に化膿性炎症をおこした疾患。小外傷、熱傷、湿疹(しっしん)などが細菌の侵入門戸となる。顔と手足に好発し、悪寒、発熱を伴って皮膚に境界のはっきりした発赤と腫(は)れが生じ、触れると硬く、灼熱(しゃくねつ)感と圧痛があり、リンパ節も腫れて痛む。病変は高熱とともに周囲に拡大する。粘膜の侵されたものや小児、高齢者に生じた場合は重症である。治療は、安静にし、抗生物質の全身投与を行い、病変部には湿布を行う。
[野波英一郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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