船舶賃借人(読み)せんぱくちんしゃくにん

改訂新版 世界大百科事典 「船舶賃借人」の意味・わかりやすい解説

船舶賃借人 (せんぱくちんしゃくにん)

広義では,他人船舶を賃借した者をいい,狭義では,商法上の用語で,他人の船舶を賃借し,商行為をなす目的で,これを航海の用に供する者をいう(商法704条1項)。狭義の船舶賃借人は,いわば裸の船体だけを賃借し,これにみずから選任した船長その他の船員を配乗せしめ,航海の用に供する。そこで,実務では,船舶賃貸借のことを裸(はだか)傭船ともいう。これに対し,船舶所有者がすでに配乗せしめた船長その他の船員付きで船舶を借り切って,物品または旅客の運送を依頼する者を傭船者という。かかる船舶を,一定の期間を限って利用する者を定期傭船者という。定期傭船契約の法的性質をめぐっては,多くの論議がなされている。商法上,船舶賃借人は,賃借した船舶の利用に関する事項については,第三者に対し,船舶所有者と同一の権利義務を有する(704条1項)。このことは,船舶賃借人も海上企業の主体として,船舶所有者と同一の地位にあるとの趣旨である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船舶賃借人」の意味・わかりやすい解説

船舶賃借人
せんぱくちんがりにん
demise charterer

裸傭船者のことであり,広義には他人の船舶を賃借する者をいうが,商法上では,他人の船舶を賃借し,商行為をなす目的をもってそれを航海の用に供する者をいう。商法は,船舶賃借人が商行為をなす目的で賃借した船舶を航海の用に供したときは,その利用に関する事項については,第三者に対して船舶所有者と同一の権利義務を有する旨を定めている (704条) 。また登記船の賃貸借はこれを登記することができ,登記すれば,その船舶につき物権を取得した者に対してもその効力が生じる (703条) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android