艶二郎(読み)エンジロウ

デジタル大辞泉 「艶二郎」の意味・読み・例文・類語

えんじろう〔エンジラウ〕【艶二郎】

黄表紙江戸生艶気樺焼えどうまれうわきのかばやき」の主人公の名から》自称好男子。うぬぼれや。
「―は青楼通り句なり」〈洒・通言総籬

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改訂新版 世界大百科事典 「艶二郎」の意味・わかりやすい解説

艶二郎 (えんじろう)

山東京伝作の黄表紙《江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)》の主人公。1785年(天明5)刊。百万両分限(大金持)といわれた〈仇気屋〉の一人息子で19歳か20歳。色男気どりで,金にあかせて艶名を広めようとする。友人に北里喜之介(きたりきのすけ)とたいこ医者わる井思庵の2人があり,彼らのいうままに〈めりやす〉を習い,刺青をし,娘のかけ込みを頼み,それを〈読売〉にしてばらまいたりする。しかしそれらのすべてに失敗し,最後に浮名屋の浮名という女郎とにせ心中を企てたが,強盗にあい,身ぐるみはがれて命も危うくなり,後悔する。強盗は実は父の弥二右衛門と番頭の候兵衛で,2人の意見にしたがい,浮名と夫婦になって納まる。モデルは十八大通の一人三十間堀の和泉屋甚助(太申(たしん))とも,国学者岸本由豆流(ゆづる)の父浅田栄二郎ともいわれる。こっけいな風貌,とくに鼻の形に特色があり,艶二郎はうぬぼれの代名詞となった。京伝は87年に洒落本通言総籬(そうまがき)》でふたたび登場させた。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「艶二郎」の解説

艶二郎 えんじろう

山東京伝の黄表紙「江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)」の主人公。
富商の仇気(あだき)屋のひとり息子。うぬぼれがつよく,色男を気どって浮き名をたてようとするが失敗。ついで遊女浮名とにせ心中をはかるが,強盗(じつは父親と番頭)におそわれる。改心して,浮名と夫婦になる。艶二郎はうぬぼれのつよい男の代名詞となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「艶二郎」の意味・わかりやすい解説

艶二郎
えんじろう

山東京伝作の洒落本『江戸生艶気樺焼 (えどうまれうわきのかばやき) 』の主人公。その性格からうぬぼれの強い男をいうようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の艶二郎の言及

【江戸生艶気樺焼】より

…1785年(天明5)刊。百万長者仇気屋(あだきや)のひとり息子艶二郎(えんじろう)は醜いくせにうぬぼれが強く,悪友たちにそそのかされ,色事の浮名を世に広めようと,金にまかせていろいろ試みるが,かえってばかの名が立つばかり。ついに吉原の遊女を身受けして情死のまねごとをしようとするが,盗賊に遭い,まる裸にされる。…

※「艶二郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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