日本大百科全書(ニッポニカ) 「艾青」の意味・わかりやすい解説
艾青
がいせい / アイチン
(1910―1996)
中国の詩人。本名は蒋正涵(しょうせいかん)、号を海澄。浙江(せっこう/チョーチヤン)省金華県出身。杭州(こうしゅう/ハンチョウ)の国立西湖芸術院に学び、画才を認めた林風眠学長の示唆でフランスに留学。32年帰国後、上海(シャンハイ)で美術グループを結成、活動中に不法逮捕され、獄中から名編『大堰河(ターイエンホー)――わたしの乳母』を発表。日中戦争の勃発(ぼっぱつ)するや、武漢(ぶかん/ウーハン)、重慶(じゅうけい/チョンチン)を経て、延安(えんあん/イエンアン)の魯迅(ろじん)文学芸術学院教員。戦後、華北連合大学文芸学院副院長、『人民文学』副主編、中国作家協会理事。56年からの反右派闘争、文革で執筆を停止され、黒龍江(こくりゅうこう/ヘイロンチヤン)省、新疆(しんきょう/シンチヤン)省の辺境で強制労働。78年、21年ぶりに詩作を再開。中国作家協会副主席。85年、その詩業に対してフランス芸術文化最高賞を受賞。詩風はとくにベルハーレンの影響を強く受け、象徴的手法を駆使する。詩集に『大堰河』(1939)、『北方』(1942)、『春』(1956)、『落葉集』(1982)、『雪蓮(せつれん)』など。他に『詩論』(1941)など。著作集に『艾青全集』全5巻(1991)がある。
[秋吉久紀夫]
『小野十三郎・うさみなおき編『艾青詩選集』(1956・法律文化社)』▽『秋吉久紀夫著『華北根拠地の文学運動』(1976・評論社)』▽『秋吉久紀夫著『近代中国文学運動の研究』(1979・九州大学出版会)』▽『稲田孝訳『艾青訳詩集』(1987・勁草出版サービスセンター)』▽『秋吉久紀夫訳編『艾青詩集』(1995・土曜美術社出版販売)』