茶法の書、井伊宗観(いいそうかん)(直弼(なおすけ))の著。彦根(ひこね)藩主であった直弼は、「埋木舎(うもれぎのや)」で不遇をかこっていた若年に石州(せきしゅう)流の茶法を学んだが、その間に多くの茶書を渉猟(しょうりょう)し、さらに『南方録(なんぽうろく)』を通じて千利休(せんのりきゅう)や南坊宗啓(なんぼうそうけい)、また山上宗二(やまのうえそうじ)に通じる茶の精神を体得していった。その結果、茶の湯本来のあるべき姿を論理的に記述したのが本書である。本書は1848年(嘉永1)以前に一度草稿を書き上げ、その後も推敲(すいこう)を重ねて、58年(安政5)に完本となしたものと考えられる。茶の湯の心得は「一期一会(いちごいちえ)」と「独座観念(どくざかんねん)」の語に集約されると説き、そのためには、主客の約束、前礼(ぜんれい)、着服、懐中(かいちゅう)物、露地(ろじ)や数寄屋(すきや)の扱い、道具、懐石(かいせき)など、茶席全般にわたる細かい心配りが必要であると述べている。
[筒井紘一]
一月五日ごろから二月二、三日ごろの、小寒、大寒合わせた約三〇日間。寒中(かんちゅう)。《 季語・冬 》[初出の実例]「寒(カン)の中 薬喰 声つかふ 酒作 紅粉(べに) 門垢離(かどごり)」(出典:俳...