荒巻(読み)アラマキ

デジタル大辞泉 「荒巻」の意味・読み・例文・類語

あら‐まき【荒巻/新巻/苞苴】

もと荒縄で巻いたところから》内臓を取って甘塩にするか薄い塩水に浸したさけ。暮れの贈答品として用いる。あらまきざけ。 冬》
わらあしや竹の皮などで魚を巻いたもの。つと。すまき。
「鯛の―四、五巻ばかり、今朝持て来りて」〈今昔・二八・三〇〉

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改訂新版 世界大百科事典 「荒巻」の意味・わかりやすい解説

荒(新)巻 (あらまき)

サケの塩蔵品で,薄塩のものを現在この名で呼び新巻と書いているが,本来は貯蔵運搬便宜のため,魚や肉を塩蔵してわらなどで巻き包んだものをいった。《和名抄》では〈苞苴〉と書いて〈阿良万岐(あらまき)〉と読ませ,魚肉を包んだものとしている。《宇治拾遺物語》などに出てくるタイの荒巻のほか,古い文献にはウナギハモタコシカ,クジラ,キジその他のものの名が見られるが,サケの荒巻は見られないようである。
サケ
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百科事典マイペディア 「荒巻」の意味・わかりやすい解説

荒(新)巻【あらまき】

現在ではとりたてのサケの内臓を取り去り,甘塩にしたものを新巻という。元来は貯蔵や運搬のため荒なわで巻いたので荒巻とも書く。北海道の石狩川産のものが知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の荒巻の言及

【クジラ(鯨)】より

…脂肪とタンパク質不足の食生活の中で,鯨が歓迎されたゆえんであろう。近世まで鯨は荒巻(あらまき)にして中央へ送られることが多く,肉は汁の実,刺身,あえ物など,かぶら骨はなますやあえ物,内臓はいろいろに調理して賞味された。天保3年(1832)刊の《鯨肉調味方(げいにくちようみほう)》は鯨の部位のすべてについてその食味と調理を記した奇書で,小山田与清の筆になるとされる。…

※「荒巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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