コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

 ワラ

3件 の用語解説(藁の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

わら【×藁】

などの茎を干したもの。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

大辞林 第三版の解説

わら【藁】

稲・麦などの茎をかわかしたもの。 「 -製品」
〔分娩のとき床に敷いたことから〕 産褥さんじよく。 「 -の中から養ひ/浄瑠璃・生玉心中

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


わら

成熟した稲や麦の茎を乾かしたもので、稲藁、麦藁という。稲藁の成分はセルロース約36%、リグニン20%、ペントザン22%、粗タンパク質6%、灰分13%などである。これらは栽培作物としての稲、麦の副産物で、日本原産ではないが、古くから日本人の日常生活のなかでさまざまな形で利用されてきた。とくに稲藁は麦藁に比べて利用度が高く、各生活分野に使われており、日本の生活文化は稲藁の利用で特徴づけられるといっても過言ではない。日本での麦作の歴史は不明な点が多く、麦藁利用についての起源や歴史は解明されてない。一方稲藁は、縄文時代終末期に稲作が受容され、弥生(やよい)時代に定着・発展したのち、弥生終末期から古墳時代にかけて鉄製手鎌(てがま)が収穫具として使われ始め、刈り取りの条件が形成されることによって、多面的利用が可能となったと考えられる。すでにこれ以前から麻、シナ、コウゾなど自然繊維を加工・編織する技術が行われており、稲藁の利用はこうした技術を基盤に展開したといえよう。福井県鳥浜貝塚からは縄文時代前期の縄が出土しており、また日本の石器時代には縄文の施文体からわかるように目覚ましく縄が発達していたのである。[小川直之]

稲藁の利用

利用法には、加工せずにそのまま用いる方法と、加工・編織する方法とがある。前者は燃料、飼料、牛馬舎や作物の根元への敷き藁、堆肥(たいひ)(積み肥)などへの利用であり、後者は藁細工、藁仕事での利用である。細かく刻んで土壁のツタ((すさ))にするなどの利用法もある。稲藁は通常、米一石(約150キログラム)について120キログラム程度とれるといわれ、利用上ではこのうちの3割が藁細工に用いられた。藁細工による利用は世界の稲作地帯のなかでは日本がもっとも進んでいる。これは、稲藁はもろく風化しやすいが、軟質で加工しやすく、保温力に富み、稲作によって豊富に得られ、また日本型の品種は加工・編織に適すからである。農家での藁細工は原則として自家用の品をつくった。暮れまでに稲の収穫・収納を済ませ、正月の仕事始めから冬場の家内仕事としてこれを行ったのである。現在、各家庭では藁製品を日用品に使うことはほとんどないが、正月の仕事始めの儀礼にナイゾメなどといって縄を一房(いちぼう)なって年神様に供えたり、藁の打ち初(ぞ)めをすることが広く行われていた。藁細工が重要な仕事であったのがよくわかろう。
 冬の農閑期の藁細工では縄や草履(ぞうり)、草鞋(わらじ)、足半(あしなか)、背中当て、蓑(みの)、莚(むしろ)、俵、桟俵などがつくられた。おもに男の仕事で、近隣の若者がムロをつくり、集まって細工をしたり、藁打ちを共同で行う場合もあった。藁細工では、まず稲藁のスベ(下葉)をすぐりとり、先端のミゴを抜いて藁をこしらえ、さらに莚や俵など一部のものを除いては、藁打ち石の上で杵(きね)や槌(つち)で打ちこなして柔らかくして使うのが普通である。細工用の藁は早稲(わせ)種の水稲で乾田でつくったものがよいとされている。糯(もち)種の藁は粳(うるち)種より長く、しかも柔らかいので糯藁もよく使われた。日本の藁製品には先述のもののほかに、服飾品では編笠(あみがさ)、蓑帽子、藁手袋、脛巾(はばき)、踏俵、深沓(ふかぐつ)、藁沓、爪掛(つまがけ)、運搬具や容器では負縄(おいなわ)、縄袋、畚(もっこ)、扶畚(ふご)、叺(かます)、苞(つと)、生産用具では藁網、藁綱といった漁具、養蚕のマブシ、菰(こも)など、室内用具では藁ぶとん、敷莚、畳床、円座、えじこ、縄暖簾(のれん)、箒(ほうき)、台所用具では飯櫃(めしびつ)入れ、弁当入れ、釜敷(かましき)、鍋(なべ)つかみ、たわし、刷毛(はけ)、ベンケイなどがある。牛馬の沓も稲藁でつくり、さらに注連縄(しめなわ)、宝船、供物の容器である藁苞、ヤス、藁皿、七夕(たなばた)の藁馬、虫送りや道祖神の藁人形もある。これらのうち漁網・漁綱のようにじょうぶにつくらなければならないものや、細かい細工、外観を美しくつくるものにはミゴを選んで用いていた。[小川直之]

麦藁の利用

稲藁に比べて用途は狭いが、肥料、敷物、屋根材、玩具(がんぐ)、帽子、菰、俵などに利用されている。現在ではほとんど使われないが、大麦、裸麦、小麦では藁の性質が多少異なっているので用途も分かれている。たとえば、小麦は他より強(こわ)いので藁屋根の材料となるが、腐りにくいので堆肥(たいひ)には入れない。麦稈真田(ばっかんさなだ)のように3種の麦藁を使う場合もある。麦藁帽子は麦稈真田を縫い合わせてつくったものである。[小川直之]

西洋の民俗

麦藁は家畜の餌(えさ)、家畜小屋の敷き藁、堆肥になる。また果樹を包み、籠(かご)、鉢、縄、蜜蜂(みつばち)の巣箱、ベッドの床、帽子、テーブルセンターをつくるなど、幅広い用途がある。もう藁屋根はほとんどみられないが、北ドイツのジュルト島などにはいまでも藁屋根があり、夏に葺(ふ)き替えをする。傷んだ箇所に苔(こけ)を詰める地方もあった。藁灰は肥料になるほか、恋の成就にも利用される。藁の呪力(じゅりょく)が信じられたからである。南チロール(北イタリア)では魔女、イギリスでは妖精(ようせい)が藁に変身するという。東プロイセン(現在ポーランドの一部)では死者を霊柩車(れいきゅうしゃ)の藁の上に安置し、その藁を墓地入口か村境に捨て、死霊の力が他の者に及ばないようにした。オーストリアのバート・ミッテルンドルフでは、聖ニコラスの日(12月6日)の前夜、全身を藁で包んだ男たちが聖ニコラスの行列の先頭で鞭(むち)を鳴らして進むなど、藁は各地の年中行事で欠かせない。[飯豊道男]
『宮本馨太郎著『民具入門』(1969・慶友社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

藁の関連キーワード五香粉草笛夏干し肥後芋茎干し竿乾麺干葉干大根干し葡萄物干し場

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone

藁の関連情報