中国華厳宗(けごんしゅう)第三祖の法蔵(ほうぞう)(643―712)が40歳ごろ著した立教開宗の書。詳しくは『華厳一乗教分記(いちじょうきょうぶんき)』という。華厳経の教えを一乗と規定し、小乗教、大乗始教、大乗終教、頓教(とんぎょう)、円教と、全仏教を5種(五教)に分け、第五の円教が華厳の一乗に相当し、当時の有力な仏教であった玄奘(げんじょう)や基(き)(窺基(きき))による法相唯識宗(ほっそうゆいしきしゅう)は大乗始教であり、華厳よりはるかに低い教えであることを論証する。法蔵は五教を主張し、華厳宗を大成したが、後代の人々は本書が法界縁起(ほっかいえんぎ)(一乗縁起)を説くものと考え、宋(そう)代からは『華厳一乗教義分斉章(ぶんさいしょう)』とよばれるようになった。これを宋本といい、天平(てんぴょう)年間(729~749)日本に伝わったものを和本と称する。
[吉津宜英]
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…華厳宗の第3祖,唐の賢首大師法蔵の著作。くわしくは《華厳一乗教義分斉章》,もしくは《華厳五教章》という。《華厳経》を軸として,仏教教理を集大成し,円融(えんゆう)の立場を明らかにする。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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