落し懸け(読み)オトシガケ

デジタル大辞泉 「落し懸け」の意味・読み・例文・類語

おとし‐がけ【落(と)し懸け/落(と)し掛け】

床の間書院窓の上にかけ渡した横木
欄間の下などに取り付ける雲形などの彫り物。
木製火鉢内側の、銅やブリキで作った、灰を入れる部分。落とし。
江戸中期、元禄(1688~1704)ごろに流行した元結の掛け方。普通より根元近くを結ぶもの。
急な坂。また、坂道などの下りかかる所とも。
「―の高き所にみつけて」〈東屋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「落し懸け」の意味・読み・例文・類語

おとし‐がけ【落懸・落掛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 床の間の上方、床柱の間に左右に渡した横木。書院窓などの同様の材をもいう。おとしがき。
    1. [初出の実例]「風鈴はもろこしには〈略〉又をし板のおとしがけにもかくるなり」(出典:仙伝抄(1445))
  3. 仏像を入れる厨子(ずし)などの、欄間の下に取り付けた雲形のほりもの。
  4. 木製の火鉢の内側に、灰や火を入れるために落とし込むようにはめる、銅やブリキなど薄い金属板で作った容器。おとし。
  5. 元祿一六八八‐一七〇四)の頃に流行した髪形の一つ。普通より、元結(もとゆい)をもとどりの根元に近くかける。
    1. [初出の実例]「いまだ十六とみて十五なるべき美女の、〈略〉おとしがけのはね鬠(もとゆひ)、すかし形のさし櫛」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)八)
  6. 取引所の取引員が、売買両建玉の一方だけを転売または買い戻して、片建とすること。〔取引所用語字彙(1917)〕

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