雲形(読み)くもがた(英語表記)cloud form

精選版 日本国語大辞典 「雲形」の意味・読み・例文・類語

くも‐がた【雲形】

〘名〙
① 雲がたなびいている形をした模様や彫刻などの総称。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉三七「此短冊は〈略〉数は五六枚で雲形(クモガタ)の洒落たものであったが」
伊勢神宮春日大社などで用いる幕で、「雲形」の二字が書かれているもの。もとは絵で、雲の形を描いたのを誤り伝えたものという。
※殿暦‐永久元年(1113)九月三〇日「今日参院参内、伊勢内宮瑞垣御門去大風顛倒〈略〉乍御本殿引雲形等修造

うん‐けい【雲形】

〘名〙 雲の形。→雲級。〔許渾‐奉和盧大夫新立仮山詩〕

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デジタル大辞泉 「雲形」の意味・読み・例文・類語

うん‐けい【雲形】

雲の形。
雲級うんきゅう
[類語]雲脚雲行き雲海雲量

くも‐がた【雲形】

たなびいた雲の形。また、それを描いた模様や彫刻。「雲形格子」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雲形」の意味・わかりやすい解説

雲形
うんけい
cloud form

雲の形。巻雲巻積雲巻層雲高積雲高層雲乱層雲層積雲層雲積雲積乱雲の 10類が基本形(→十種雲形)。大部分の類はさらにその形や内部構造に基づいて種に,また雲片の配列の仕方や透明度に基づいて変種に細分される。種には毛状雲,かぎ状雲,濃密雲,塔状雲,ふさ状雲,層状雲,霧状雲,レンズ雲,断片雲,へん平雲,並雲,雄大雲,無毛雲,多毛雲,変種には肋骨雲,もつれ雲,波状雲放射状雲,蜂の巣状雲,二重雲,半透明雲,すきま雲,不透明雲がある。部分的に特徴のある形の雲として,かなとこ雲乳房雲,尾流雲,降水雲,アーチ雲,漏斗雲頭巾雲,ちぎれ雲,ベール雲がある。以上の雲の分類法は世界気象機関 WMOによって定められ,国際的に用いられている。雲形の科学的な分類は 1803年,イギリス気象学者ルーク・ハワードによって行なわれた。シート状の薄い雲の層を「層雲」stratus,もくもく盛り上がった雲を「積雲」cumulus,上層の繊維状・羽毛状の雲を「巻雲」cirrusとする 3種類を基本形に,さらに,雨をもたらす雲を nimbusとし,ほかに 4種類を加えて合計 7種類に分類した。その後,イギリスの気象学者ラルフ・アバークロンビーが,スウェーデンの気象学者フゴ・ヒルデブランドソンとともに 1887年に 10種類に分類した。国際的には 1896年,WMOの前身である国際気象会議 IMOにより 10の基本形が作成された。

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百科事典マイペディア 「雲形」の意味・わかりやすい解説

雲形【うんけい】

雲形には国際的に統一された分類法(国際雲級)があり,世界気象機関の国際雲図帳は以下のように分類。1.類 十種雲形。2.種 構造その他の特徴により毛状,かぎ状,レンズ状,雄大,多毛など14種に小分けし,類の名称の前に形容詞としてつける。3.変種 透明度や配列状態の著しい特徴により,さらに小分けして,もつれ,波状,放射,隙間(すきま),不透明など9変種が含まれる。4.部分的に特徴のある形の雲 かなとこ雲,乳房雲,ベール雲など10種がある。5.母雲 たとえば,積乱雲の頭部が変化して巻雲になることはよく見られるが,この場合の積乱雲を母雲と呼び,できた巻雲を積乱雲性巻雲と呼ぶ。十種雲形に入らない特殊な雲で北欧の空にときどき見られる真珠雲夜光雲は普通の雲よりずっと高いところに現れる。
→関連項目薄曇雲量雲粒晴(気象)レンズ雲

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世界大百科事典(旧版)内の雲形の言及

【雲】より

…この量が大きいと雨滴の形成の速度が大きくなり,降雨の開始と密接な関係がある。
【分類】
 雲の形を雲形といい,おもに形態的特徴から世界気象機関(WMO)の《国際雲図帳》では類,種,変種と細分している。このうち類には10種あり,一般にこの基本形を10種雲形(雲級)と呼んでいる(表,図4)。…

※「雲形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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