董西廂(読み)とうせいしょう(その他表記)Dǒng xī xiāng

改訂新版 世界大百科事典 「董西廂」の意味・わかりやすい解説

董西廂 (とうせいしょう)
Dǒng xī xiāng

中国語り物の一形式である〈諸宮調〉の代表的作品で,《董解元西廂記》の略称作者の董解元は金の章宗の時(1190-1208)の人。唐の元稹(げんしん)の伝奇小説鶯鶯伝》を題材とし,書生の張珙と崔鶯鶯恋愛を描くが,《鶯鶯伝》では破局におわる2人の愛情が,めでたく成就するよう話の筋が改められている。のちの元代の演劇である〈雑劇〉の代表作,王実甫の《西廂記》に大きな影響をあたえた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「董西廂」の意味・わかりやすい解説

董西廂
とうせいそう
Dong Xi-xiang

中国,金の語り物文学。董解元の作。中国では北宋末に元曲の母胎となった諸宮調という語り物が創始されたが,本編はその完全な形で残された唯一ともいうべき作品。唐の元じんの『鶯鶯 (おうおう) 伝』に基づいて,張きょうと崔鶯鶯との恋愛を描いたもの。のち,王実甫の元曲『西廂記』に発展したもので,正しくは『西廂記諸宮調』というが,元曲の『西廂記』と区別するため,通常『董西廂』と呼ばれる。作者の董解元については,金の章宗 (在位 1189~1208) のときの人という以外には,ほとんどわかっていない。

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百科事典マイペディア 「董西廂」の意味・わかりやすい解説

董西廂【とうせいしょう】

中国,金代の董解元作の諸宮調(歌曲を伴う語り物)。2巻。諸宮調の作品として完全な形で現存する唯一のもの。唐の伝奇小説《会真記》に取材し,元曲《西廂(せいしょう)記》の原本となった。

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