葦手絵(読み)アシデエ

デジタル大辞泉 「葦手絵」の意味・読み・例文・類語

あしで‐え〔‐ヱ〕【×葦手絵】

樹木・草花・岩などの一部文字を装飾的に組み込んだ絵。料紙下絵蒔絵まきえなどに用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「葦手絵」の意味・読み・例文・類語

あしで‐え‥ヱ【葦手絵】

  1. 〘 名詞 〙 大和絵一種葦手の文字を巧みに取り入れた装飾的な絵画。料紙の下絵などに用いられたが次第に模様化して、蒔絵(まきえ)服飾などに用いられるようになった。葦手。
    1. [初出の実例]「葦手絵と云は鞘の蒔絵を歌の心を文字と絵と交じへて書くなり」(出典:本邦刀剣考(1793))

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「葦手絵」の意味・わかりやすい解説

葦手絵
あしでえ

平安時代に行われた画風で,水辺風景に擬して水流,葦,水鳥,岩,松などを描き,そこに絵画化した文字を配した絵。描かれた図様と文字を組合せて和歌歌意を表わす葦手歌絵や,経文の文字を配して経意を示すものもある。多くは料紙の下絵として特に歌巻や経巻に装飾的に用いられた。代表的作例は 12世紀初めの『西本願寺本元真集』下絵や永暦1 (1160) 年の藤原伊行筆『和漢朗詠集』下絵など。

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世界大百科事典(旧版)内の葦手絵の言及

【葦手】より

…水辺に生えるアシになぞらえて書いた遊戯的文字で,かな文字が多い。それは水辺の景色の中に絵画的に隠し文字のようにアシ,流水,水鳥,岩などの一部分を文字化して書き加えたもので,藤原時代に行われ,葦手を画面に散らして絵模様を構成するものを葦手絵という。葦手絵は後世に至るまで,色紙の下絵や蒔絵の意匠などとして,広く流布されるようになった。…

※「葦手絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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