料紙(読み)りょうし

精選版 日本国語大辞典 「料紙」の意味・読み・例文・類語

りょう‐し レウ‥【料紙】

〘名〙
使用の料とする紙。ものを書くのに用いる紙。用紙
延喜式(927)一六「凡密奏 料紙筆墨等臨時申省」
洒落本通言総籬(1787)二「おす川がかぶろは、両ざしをぬいて、りゃうしのふたへ入れて」

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デジタル大辞泉 「料紙」の意味・読み・例文・類語

りょう‐し〔レウ‐〕【料紙】

物を書くのに用いる紙。用紙。「写経料紙
料紙箱」の略。
「両ざしをぬいて、―のふたへ入れて」〈洒・通言総籬
[類語]用紙用箋便箋書簡箋一筆箋

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改訂新版 世界大百科事典 「料紙」の意味・わかりやすい解説

料紙 (りょうし)

文書をはじめ典籍経典等の文字を書くときに使用する紙のこと。日本で用いられた料紙は,原料によって麻紙,楮(こうぞ)紙,斐(ひ)紙,三椏(みつまた)紙等がある。麻紙は白麻,黄麻を原料とした紙で,奈良時代から平安時代初期に多く用いられ,特に写経用として珍重された。コウゾは日本の各地に簇生し,これを原料としたのが楮紙である。原料が豊富でしかも繊維が強靱で実用性に富んでいるため,楮紙は古くから料紙の中心的地位を占めてきた。同じく楮紙といってもすき方によって奉書紙檀紙美濃紙等の種類がある。ガンピ(雁皮)を材料としたのが斐紙雁皮紙)で,表面が滑らかで光沢があり,風格があるので,典籍等の重要なものの料紙としてはやくから用いられた。これが文書類に用いられるのは戦国時代に入ってからである。やや黄色みを帯びていることから鳥の子とも呼ばれ,薄手のものを薄様(葉),厚手のものを厚様(葉)ともいう。ミツマタを材料とする三椏紙は,江戸時代中ごろには生産されるようになったが,文書,典籍等の料紙としてはほとんど用いられていない。

 普通の横長の一枚の料紙を竪紙たてがみ)といい,それを横に二つ折にして天地背中合せにしたものを折紙,縦に二つ折にして左右を背中合せにしたものを竪(縦)折紙といい,竪紙を縦や横に適当に裁断したものが切紙である。竪紙一紙で書ききれない場合,これを2枚,3枚と糊ではりついだものを用いる。これが続紙である。書状および書状に起源を有する書札様文書は,本紙のほか礼紙,封紙をともなうのが普通。以上は文書類の料紙の形で,典籍,経典類は巻子本のほか種々の装丁が行われる。
 →料紙装飾
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「料紙」の意味・わかりやすい解説

料紙
りょうし

書きものをするための紙。平安時代に上流社会で多くの紙が消費されるようになると、料紙は詩歌を美しく書くため、さらに紙質が重んじられるようになり、美意識の対象となった。なかでも奈良時代からの染め紙は色紙(しきし)として形式化され、美しくしかも薄く漉(す)ける流し漉きの技法と染色技術が組み合わさって、打曇(うちぐもり)(内曇)、飛雲(とびくも)、羅文紙(らもんし)などの漉き模様紙や、金、銀の砂子(すなご)、切箔(きりはく)、野毛(のげ)などによる加工紙、また墨流(すみなが)し、切り継(つ)ぎ、破り継ぎ、重ね継ぎなどの技法による継ぎ紙など、多種多様の料紙が工芸美術として発達した。これらは書道の発展とも関連して、現在までに多くの傑作が残されている。

[町田誠之]

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