蒙自(読み)もうじ(その他表記)Méng zì

改訂新版 世界大百科事典 「蒙自」の意味・わかりやすい解説

蒙自 (もうじ)
Méng zì

中国,雲南省南部,紅河ハニ(哈尼)族イ(彝)族自治州東部の県。人口30万(1994)。県内には紅河すなわちソンコイ川の支流が流れ,昆河(こんか)鉄道の支線,蒙宝鉄道が通る交通の要所である。漢代に益州郡,西随県がおかれ,のち宋代には大理の拠点の一つとなったが,13世紀元代に蒙自県に改められた。フランスとの条約(1886)により,1889年(光緒15),市場が開かれ,茶や県西方箇旧(こきゆう)産のスズなどがベトナムをへてフランス方面へ輸出された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蒙自」の意味・わかりやすい解説

蒙自
もうじ / モンツー

中国、雲南(うんなん)省南東部の県級市。紅河(こうが)ハニ族イ族自治州の州政府所在地である。人口38万1007(2010)。県内を昆河線(昆明(こんめい)―河口(かこう))、蒙宝線(蒙自―宝秀(ほうしゅう))の両鉄道が通じる。元代に雲南が中国領となってから開け、蒙自千戸所が置かれ、ついで県となった。昆明から南下しベトナム国境の河口に至る街道に沿うため、交通、商業の町として発展し、1887年の清仏(しんふつ)条約により商埠地(しょうふち)として開かれた。中国第一の錫(すず)の産地箇旧(かきゅう)に隣接するため、金属加工業、ゴム、製糸工業などが発展している。ザクロの産地としても知られる。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「蒙自」の意味・わかりやすい解説

蒙自【もうじ】

中国,雲南省南東部,紅河ハニ族イ族自治州の県。昆河鉄路(昆明〜河口)と蒙宝鉄路(蒙自〜宝秀)に沿う。フランスとの条約により1889年市場が開かれ,フランス租界があった。西方の箇旧(こきゅう)付近のスズを移出。米,茶,サトウキビ果実の産があり,ベトナムとの交易が盛ん。38万人(2014)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android