蕩ける(読み)トロケル

デジタル大辞泉 「蕩ける」の意味・読み・例文・類語

とろ・ける【×蕩ける/×盪ける】

[動カ下一][文]とろ・く[カ下二]
固まっていた物が溶けて軟らかくなる。また、液状になる。「バターが―・ける」
心のしまりがなくなる。「甘美な音楽に心が―・ける」
心が和らぐ。なごむ。
「御憤り、殊の外に―・けてこそ見え給ひつれ」〈盛衰記一一
[類語](1ふやけるふやかすほとびる/(2陶酔酔う酔いれるひたうっとりする恍惚こうこつ陶然しびれる

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精選版 日本国語大辞典 「蕩ける」の意味・読み・例文・類語

とろ・ける【蕩・盪】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]とろ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
  2. とけて形がくずれる。固体がとけて液体になる。
    1. [初出の実例]「心眼眼相対頂門眼と云は、妄心本心一つにとろけ合た時が、已前の心也」(出典:報恩録(1474)下)
    2. 「とろけたるしがいをつかんで」(出典:浄瑠璃・傾城吉岡染(1710頃)下)
  3. 心がやわらぐ。心がゆったりする。
    1. [初出の実例]「入道殿の日頃の御憤りも、ことの外に蕩(トロケ)てこそ」(出典源平盛衰記(14C前)一一)
  4. 心がひきつけられて理性を失う。心のしまりがなくなる。
    1. [初出の実例]「浅之進を見てゑみを含めば、覚えずも心とろけて酔(ゑゑる)がごとく」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)一)

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