薩摩版(読み)サツマバン

デジタル大辞泉 「薩摩版」の意味・読み・例文・類語

さつま‐ばん【×薩摩版】

室町時代から江戸初期にかけて薩摩で出版された書籍。江戸末期にも若干刊行があった。

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精選版 日本国語大辞典 「薩摩版」の意味・読み・例文・類語

さつま‐ばん【薩摩版】

  1. 〘 名詞 〙 室町期から近世初期にかけて、島津氏の所領薩摩国(鹿児島県)で出版された書籍をいう。桂庵玄樹来任をきっかけとするといわれる。文明一三年(一四八一)刊の「聚分韻略」「大学章句」にはじまり、慶長二〇年(一六一六)刊「黄睦公素書」「孔子聖蹟図」などに至り、以後中絶、近世末期に若干の刊行が見られる。薩摩本。

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改訂新版 世界大百科事典 「薩摩版」の意味・わかりやすい解説

薩摩版 (さつまばん)

室町時代から江戸時代にかけて,九州薩摩の島津氏のもとで開版された種々の書物。同時期の大内氏大内版)と同じく,島津氏も明と盛んに交易をするとともに,朱子学をはじめ学問や文化に深い関心を示した。1478年(文明10)島津忠昌(1463-1508)は桂庵玄樹を招いて桂樹院を創立したが,桂庵が81年に開版した《大学章句》は,日本における《大学》(四書の一つ)の印行の最初といわれる。同81年には《聚分韻略(しゆうぶんいんりやく)》全5巻が開版されており,薩摩版の初めとされ,国立国会図書館などに現存する。その後もいくつかの開版が知られているが,1616年(元和2)の《黄睦公素書》などをもっていったん中絶し,江戸時代末期になっていくつかの開版がなされた。また,日向佐土原の島津氏のもとでも《聚分韻略》(1530)ほかいくつかが開版されている。
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旺文社日本史事典 三訂版 「薩摩版」の解説

薩摩版
さつまばん

室町後期以後,薩摩国島津氏の領内で出版された出版物
島津忠昌に招かれた桂庵玄樹が朱子の新学を講じた結果,1481年はじめて『大学章句』が出版された。江戸時代には『成形図説』も刊行された。

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