改訂新版 世界大百科事典 「成形図説」の意味・わかりやすい解説
成形図説 (せいけいずせつ)
島津重豪(しげひで)が曾槃(そうはん),白尾国柱らに命じて勧農・救餓済急のために編纂させた農書。内容は農事,五穀,蔬菜,薬草,草木,鳥類などにわたる100巻の大著で,各事項の説明には和・漢・オランダ語の名称をあげている。オランダ語は堀愛生の訳。曾槃は1793年(寛政5)命をうけ,1804年(文化1)農事部14巻,五穀部6巻,蔬菜部10巻を出版したが,06年3月江戸の高輪薩摩藩邸の火事で,草稿・版木等が焼亡した。曾槃はさらに編集に励んだが,29年(文政12)3月曾槃の明石橋の家が焼けてまたも草稿・版木等を失った。曾槃は三たび老の勇を鼓して編集に励み,桜田藩邸の寓居で31巻から45巻までを脱稿したが,この部分は未刊のまま静嘉堂文庫に所蔵されている。刊本には色刷本もごく少数あるが,単色本は土屋喬雄解題で4冊洋本として1932年復刻。
執筆者:原口 虎雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報