日本歴史地名大系 「薩隅日地理纂考」の解説
薩隅日地理纂考
さつぐうにちちりさんこう
二八巻 樺山資雄外編
成立 明治四―八年
構成 三国総説(巻一)・薩摩国(巻二―一四)・大隅国(巻一五―二四)・日向国(巻二五―二八)
解説 廃藩置県当時の薩摩国・大隅国と日向国諸県郡の地誌。鹿児島藩知事島津忠義の命で初め八田知紀・高木秀明・田原篤実・新納実枝・樺山資雄が編纂に携わったが、八田・高木・田原が新政府に登用されたため、関盛長・境田通古・町田俊徳・山名亨・有馬某らを補充し、樺山を主任として事業は続けられた。明治四年頃にはあらかた稿は成り、その後加筆訂正され、明治七、八年頃には完成したものと推定される。各郷ごとの沿革はじめ県庁からの方位と距離・郷域と周廻・村落・石高・人口・戸数・物産などの記事および村ごとの主要な神社、代表的な自然(山岳・河川・瀑布・池・津崎・島など)、港浦、城跡・温泉など名所旧跡、および特記事項の記述からなる。本文中の統計数値は明治維新期の幕末から明治初期のものと推定される。琉球国所属の現大島郡分は入っておらず、また激しい廃仏毀釈のさなかにあった当時の時勢を反映して仏教寺院関係の記事を欠く。
活字本 明治三一年刊(鹿児島県教育会)・昭和四六年復刻(鹿児島県地方史学会)
薩隅日地理纂考
さつぐうにちちりさんこう
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報