藁を材料にしてつくった人形。古代中国では芻霊(すうれい)、芻人とよんで死者とともに葬る副葬品に用いられた。日本では平安時代、疫病が流行すると、これをつくって道に立て、祓(はらい)をした。また田畑の害虫を追いやるまじないに行う虫送りに、斎藤別当実盛(さねもり)などという藁(わら)人形をつくり、この人形を村はずれや川まで送る習俗が農村でみられる。藁(稲)を神聖視した現れで、こうした信仰、呪咀(じゅそ)的なものに用いられる。呪(のろ)う人を模した藁人形を神木に打ちつけてその死を祈る「丑(うし)の刻(こく)参り」などに登場するのもそれである。また、合戦の際この藁人形に甲冑(かっちゅう)を着せて武者姿に仕立て敵の目をまどわすことなども『太平記』などの軍記物にみえている。
[斎藤良輔]
…恨む相手をのろい殺すため丑の刻(午前2時ごろ)に社寺に参詣し,神木などに藁人形に五寸釘を打ちつけて祈願することを7日間つづけ,願いがかなうと相手が死ぬという信仰。頭に五徳を逆さにかぶり,その足にろうそくを立て,白装束を着て,人知れずこれを行うものとされた。…
…茨城県高萩市の旧高岡村では,節供として当然休むべき5月5日に田に入って働くと,棒足といって足がはれ,棒のように硬直して曲がらないようになるといったり,このときに植えた稲苗は赤くなって収穫不可能になるといって,田に入らないようにしていた。福島県飯坂町茂庭でも,この日田に入ると3里四方が不作になるといい,入った者を象った藁人形を作って皆で呪ったという。類似の伝承は北関東から東北各地にあるが,さらに山口県にも,〈代搔き(しろかき)の牛を出すな〉とか〈土に生金(なまがね)を立てるな〉といって田仕事を休む風がある。…
※「藁人形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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