藤田まこと(読み)フジタマコト

デジタル大辞泉 「藤田まこと」の意味・読み・例文・類語

ふじた‐まこと〔ふぢた‐〕【藤田まこと】

[1933~2010]俳優東京の生まれ。本名、原田まこと歌手司会を経て、コメディアンとしてテレビ界入り。主演した時代劇「てなもん三度笠」が高視聴率を上げ、人気を集めた。その後も「必殺」シリーズなどのヒット作に出演映画舞台でも活躍した。平成14年(2002)紫綬褒章受章。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「藤田まこと」の解説

藤田 まこと
フジタ マコト


職業
俳優

本名
原田 真(ハラダ マコト)

生年月日
昭和8年 4月13日

出生地
東京都 豊島区池袋

学歴
堀川高中退

経歴
父は無声映画時代のスターである藤間林太郎で、4人きょうだい(2男2女)の二男(3番目)。伯母は日本画家・鏑木清方に“日本一の美女”と讃えられた日向きん子で、伯父は名女形として知られた曽我廼家弁天。6歳で生母を亡くし、10歳まで東京・池袋で育った。昭和18年大阪の光善寺へ移る。21年上木家の養子となったが、19年10月に兄が戦死していたことがわかり、生家に戻った。父の友人に誘われて旅回りの一座に入り、高校を1年で中退。本名の原田に父の芸名・藤間から一字もらって“藤田”とし、名前をひらがなにして、“藤田まこと”を名乗る。歌手志望ながら、代理でつとめた歌謡ショーの司会者として才能を発揮し、漫才師・中田ダイマルの勧めでコメディアンに転身。ダイラケ劇団や、テレビのコメディ番組「びっくり捕物帖」「スチャラカ社員」などに出演し、公開コメディ番組「笑いの王国」冒頭の、様々な人物の扮装をしながら“ああ、効いてきた”というキャッチフレーズをいう亜細亜製薬の強壮剤「強力ベルベ」の生コマーシャルが評判を呼んだ。37年朝日放送ディレクター・沢田隆治から出された“他局の番組を全て降板する”という条件を飲み、時代劇コメディ番組「てなもんや三度笠」の主役“あんかけの時次郎”に抜擢されると、小坊主“珍念”役の白木みのるとの掛け合いでお茶の間を沸かせ、一躍全国にその名を知られた。スポンサーの前田製菓の商品を紹介する“俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!”というセリフは流行語になり、番組視聴率も常時40%を超え、関西地区では最高64.8%を記録した。43年の番組終了後はキャバレー回りをするなど低迷したが、48年江戸時代の殺し屋たちを主人公に据えたテレビ朝日の時代劇〈必殺〉シリーズの第2弾「必殺仕置人」で町奉行同心・中村主水に起用され、“昼行灯”と呼ばれてうだつの上がらない婿養子のダメ同心ながら、実は人知れず悪を倒す殺し屋グループのまとめ役で剣の達人という役どころを好演し、俳優としての地位を確立。主水役は生涯の当たり役の一つとなり、シリーズ全31作中で16作に出演した。63年から始まったテレビ朝日系の刑事ドラマ「はぐれ刑事純情派」では人情味あふれる刑事・安浦吉之助役を演じて21年間続く長寿番組となり、平成21年通算444回目の最終回スペシャルで終了。全平均視聴率16.6%、4年には最高の25.4%を記録。10年からは池波正太郎原作の時代劇「剣客商売」(フジテレビ系)で老剣客・秋山小兵衛役を演じ、中村主水、安浦刑事と並ぶ持ち役の一つとなった。20年には、太平洋戦争末期の名古屋空襲で捕らえた爆撃機搭乗員を処刑し、戦後B級戦犯として裁判にかけられた岡田資陸軍中将の最後の姿を描いた映画「明日への遺言」に主演。歌唱力にも定評があり、舞台では、昭和56年「東海林太郎物語・歌こそ我がいのち」で若い頃に世話になった歌手・東海林太郎の生涯を演じ、59年芸術祭賞優秀賞を受賞。平成3年には主演したミュージカル「その男ゾルバ」で芸術選奨文部大臣賞を受けた。14年紫綬褒章を受章。コメディアン出身で、軽妙さと重厚さ、明るさと陰りの二面性を表現できる俳優として大成。その個性が生きた中村主水、安浦刑事、秋山小兵衛は長く愛されるキャラクターとなり、いずれもが長寿作品となった。他の出演作に、映画「日本の青春」「闇の狩人」「積木くずし」「必殺!」「突入せよ!あさま山荘事件」「大奥」「ラストゲーム 最後の早慶戦」、テレビ「新・平家物語」「必殺仕事人」「大忠臣蔵」「はぐれ医者 お命預かります!」「武蔵 MUSASHI」「世直し順庵!人情剣」「役者魂!」など。著書に「こんなもんやで人生は」「年をとるのも悪くない」「人生番狂わせ」「最期」などがある。

受賞
芸術選奨文部大臣賞(第41回)〔平成3年〕「その男ゾルバ」 紫綬褒章〔平成14年〕 京都市民映画祭主演男優賞〔昭和50年〕,ベストドレッサー賞(第12回)〔昭和58年〕,芸術祭賞優秀賞(第39回)〔昭和59年〕「東海林太郎物語・歌こそ我がいのち」,芸術祭賞(昭62年度)「旅役者駒十郎日記 人生まわり舞台」,松尾芸能賞(優秀賞 第12回)〔平成3年〕,大阪府民劇場賞〔平成3年〕「その男ゾルバ」

没年月日
平成22年 2月17日 (2010年)

家族
父=藤間 林太郎(俳優)

親族
伯母=日向 きん子,伯父=曽我廼家 弁天(俳優)

伝記
「新宿コマ」座長たちの舞台裏―伝説の音響技師が語る大物歌手・芸人の真実あの日、夢の箱を開けた!―テレビ黄金時代の立役者12人の告白決定版 私説コメディアン史オモロイやつらまるごと なにわの芸人はん年をとるのも悪くないこんなもんやで人生は―ムコ殿の人間修行必殺!テレビ仕事人 渡部 清 著,小菅 宏 聞き手『テレビサライ』編集部 編澤田 隆治 著竹本 浩三 著新野 新 著藤田 まこと 著藤田 まこと 著山内 久司 著(発行元 講談社小学館筑摩書房文芸春秋リバティ書房飛鳥新社主婦と生活社朝日新聞社 ’07’03’03’02’96’91’88’87発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤田まこと」の解説

藤田まこと ふじた-まこと

1933-2010 昭和後期-平成時代の俳優。
昭和8年4月13日生まれ。大阪でコメディアンとなり,昭和37年からのテレビ番組「てなもんや三度笠」で人気をあつめる。47年からのテレビ時代劇「必殺」シリーズの町奉行同心・中村主水(もんど)が当たり役となった。映画,舞台,ミュージカルでも活躍。平成21年「明日への遺言」で日本映画批評家大賞審査員特別賞。平成22年2月17日死去。76歳。東京出身。堀川高中退。本名は原田真。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「藤田まこと」の意味・わかりやすい解説

藤田まこと【ふじたまこと】

俳優,歌手。東京都豊島区に生まれ,京都市で育つ。父の藤間林太郎は無声映画時代のスター。前座歌手から,コメディアンに転じ,1962年,朝日放送の沢田隆治演出のTV時代劇コメディー《てなもんや三度笠》の主役に抜擢され,高視聴率をあげて人気を博した。以後,《必殺仕置人》シリーズ,《はぐれ刑事純情派》シリーズなどのTVドラマをはじめ,映画,舞台でも活躍した。2002年,紫綬褒章受章。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

367日誕生日大事典 「藤田まこと」の解説

藤田 まこと (ふじた まこと)

生年月日:1933年4月13日
昭和時代;平成時代の俳優

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android