菅笠(すげがさ)の一種。江戸時代に三度飛脚が用いたのでこの名がある。はじめて三度笠が用いられたのは貞享年間(1684-88)といわれ,寛延・宝暦(1748-64)ころのものは女笠に似て大型の浅い菅笠であったが,天保・嘉永(1830-54)ころに用いられたものは饅頭笠(まんじゆうがさ)に似てかぶる度のきわめて深い菅笠で,一名,大深(おおぶか)とも呼ばれた。そのかぶる度を深くするのは,誤って落馬したときに顔面にきずを受けない用心とも,また風やほこりを防ぐ必要からともいわれている。文化(1804-18)以前には旅商人もおおむねこれを用いたが,文化以後にはようやくすたれ,天保・嘉永ころになお三度笠を用いていたのは飛脚宰領にとどまったという。現在,大衆小説や映画・演劇などで三度笠と呼んでいるのは,寛延・宝暦ころの女笠に似た大型の浅いものである。
執筆者:宮本 馨太郎
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…形の上から平笠,尖(とがり)笠,褄折(つまおり)笠,桔梗(ききよう)笠などがあり,用途上から雨笠,陽笠,祭りや踊りに用いる花笠,戦陣で下級武士のかぶった陣笠や騎射に用いた騎射笠などと呼ばれるものがあった。着用者別には市女笠,三度飛脚の三度笠,六部笠,女笠など,また,韮山(にらやま)代官江川太郎左衛門がつくったといわれる韮山笠や加賀笠のように地名を冠したもの,吉弥笠など人名にちなむものもあった(図)。
[笠の材料・形・製法]
笠の材料は,イグサ,スゲ,カヤ,稲わらや麦わらの茎,ヒノキ,松,杉,竹の削片,さらにシュロ皮,布,紙,獣皮などが用いられる。…
※「三度笠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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