藤田省三(読み)フジタ ショウゾウ

20世紀日本人名事典 「藤田省三」の解説

藤田 省三
フジタ ショウゾウ

昭和・平成期の思想史家 法政大学名誉教授。



生年
昭和2(1927)年9月17日

没年
平成15(2003)年5月28日

出生地
愛媛県大三島

学歴〔年〕
東京大学法学部政治学科〔昭和28年〕卒

経歴
法政大学講師、教授を務めたが、大学紛争渦中の昭和45年退任。この間、42〜44年英国のシェフィールド大学日本研究所で研究に当る。55年法政大学教授に復帰し、平成5年定年退職。丸山真男の学問的系譜を継ぎ、リベラル派の思想史家として活躍。西欧近代主義的な価値感を尺度に著書「天皇制国家の支配原理」「維新の精神」などで天皇制や明治国家の体制原理などの批判・分析を行い、鶴見俊輔ら“思想の科学研究会”のメンバーと戦前戦後の思想転向者の研究に取り組んだ「共同研究転向」(全3巻)でも中心的な役割を果たした。一方、’60年安保やベトナム反戦などの市民運動にも参加した。他の著書に「転向の思想史的研究」「現代史断章」「精神史考察」、鶴見、久野収との共著「戦後日本の思想」など。他に「藤田省三著作集」(全10巻 みすず書房)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤田省三」の解説

藤田省三 ふじた-しょうぞう

1927-2003 昭和後期-平成時代の思想史家。
昭和2年9月17日生まれ。丸山真男に師事。昭和41年法大教授。45年退職するが55年に復職。思想の科学研究会編「共同研究 転向」の編集で中心的役割をはたした。また戦後の日本思想に対して独自の精神史的・文明論的考察をおこなった。平成15年5月28日死去。75歳。愛媛県出身。東大卒。著作に「天皇制国家の支配原理」「精神史的考察」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「藤田省三」の意味・わかりやすい解説

藤田省三【ふじたしょうぞう】

思想史家・政治学者。丸山真男に師事。近代天皇制国家の内面構造を分析した《天皇制国家の支配原理》は戦後思想史に画期的な意味を持つと高く評価され,若くして戦後の批判的知識人を代表する一人として注目される。代表作《精神史的考察》では,古代から現代まで,歴史転換期の経験のもつ意味を精神史の問題として掘り下げ,現代日本社会における〈経験の喪失〉を鋭く批判した。著作集10巻が刊行されている。

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