デジタル大辞泉
「丸山真男」の意味・読み・例文・類語
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まるやま‐まさお【丸山真男】
- 政治学者。東京帝大法科卒。南原繁に師事し、日本の近世思想を発展的にとらえ、独自の思想史の方法論を確立するとともに、政治学の学問的自立を追求した。第二次世界大戦後は積極的に発言し、戦後民主主義思想を主導した。著「日本政治思想史研究」「現代政治の思想と行動」など。大正三~平成八年(一九一四‐九六)
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丸山真男
まるやままさお
(1914―1996)
思想家、政治・歴史学者。大阪生まれ。父は丸山幹治(かんじ)。1937年(昭和12)東京帝国大学法学部卒業。助手を経て1940年東大助教授。戦後(1953)一書にまとめた『日本政治思想史研究』を、戦時下『国家学会雑誌』に5年間掲載して応召。1950年(昭和25)東大教授、1971年辞職。東大法学部では、東洋政治思想史という広範で未開拓な分野の講座を一貫して担当。一方、主著『増補版・現代政治の思想と行動』(1964、初版は1956~1957)では、ナショナリズム、ファシズム、超国家主義、天皇制、明治維新、近代化政治などの論から、ソ連のスターリン体制や中国共産革命の批判に至るアクチュアルで同時に原理的な評論を集大成して、戦後の思想界に主導的な役割を果たした。何々の「思想と行動」という言い方は一種の流行語ともなり、この論集の後記に書いた「私自身の選択についていうならば、大日本帝国の“実在”よりも戦後民主主義の“虚妄”の方に賭(か)ける」ということばは丸山政治学の全体を象徴している。彼の戦争中の青春期モニュメントといえる『日本政治思想史研究』は、江戸時代の儒学者荻生徂徠(おぎゅうそらい)から国学者本居宣長(もとおりのりなが)に至る思想展開の過程に近代化の萌芽(ほうが)をみいだす仕事で、戦後の近世史や宣長研究の礎石を築くものとなった。晩年『「文明論之概略」を読む』(岩波新書上中下、1986)を発表、『日本の思想』(岩波新書、1961)とともに、啓蒙(けいもう)実践の学者の面目、躍如たるものがある。
[中島 誠 2016年9月16日]
『『現代政治の思想と行動』増補版(1964/新装版・2006・未来社)』▽『丸山真男著『戦中と戦後の間――1936―1957』(1976・みすず書房)』▽『丸山真男著『後衛の位置から――「現代政治の思想と行動」追補』(1982・未来社)』▽『『日本政治思想史研究』新装版(1983・東京大学出版会)』▽『『「文明論之概略」を読む』上中下(岩波新書)』▽『『日本の思想』(岩波新書)』
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丸山 真男
マルヤマ マサオ
昭和・平成期の政治学者,政治思想史家 東京大学名誉教授。
- 生年
- 大正3(1914)年3月22日
- 没年
- 平成8(1996)年8月15日
- 出生地
- 大阪府大阪市
- 出身地
- 長野県埴科郡清野村
- 学歴〔年〕
- 東京帝大法学部政治学科〔昭和12年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 毎日出版文化賞〔昭和28年〕「日本政治思想史研究」,ハーバード大学名誉法学博士〔昭和48年〕,プリンストン大学名誉文学博士〔昭和48年〕,大仏次郎賞(第4回)〔昭和52年〕「戦中と戦後の間」,朝日賞〔昭和61年〕,アジア研究特別功労賞(全米アジア研究会)〔平成5年〕
- 経歴
- 長谷川如是閑らと親しかった著名な政治記者・丸山幹治の二男。東京帝大助手を経て、昭和15年助教授、25年東京大学教授となる。46年に退官して、名誉教授。この間、36年ハーバード大学、オックスフォード大学客員教授、50年プリンストン高等研究所所員を務める。日本政治思想史の分野で“丸山政治学”と呼ばれる独自の学風を示し、「日本政治思想史研究」「現代政治の思想と行動」「日本の思想」は欧米でも出版され、広く国の内外で高い評価を得ている。西欧では日本研究の「古典」とさえいわれ、日本人では珍しく英国学士院の外国会員に選挙で選ばれたほか、アメリカ歴史学協会、英国王立歴史学協会の外国会員にも選出。ライフワークは福沢諭吉と荻生徂徠の研究だった。また平和問題懇談会、憲法問題研究会にも参加し、講話や安保問題にも積極的に関わった。53年日本学士院会員。戦後日本の代表的知識人。他に「丸山真男著作ノート」(現代の理論社)「丸山真男集」(全16巻・別巻1 岩波書店)がある。
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丸山真男【まるやままさお】
政治学者。大阪市出身。東大卒。東大教授。第2次大戦中に,近代政治学を踏まえた独創的な方法による日本政治思想史の研究を執筆・発表。戦後いちはやく,天皇制ファシズムの内面構造を鋭く分析する〈軍国支配者の精神形態〉〈超国家主義の論理と心理〉などを発表して思想界に大きな影響を与えた。思想史研究としては,荻生徂徠を中心とする近世の儒学,一貫して関心を寄せた福沢諭吉の思想,さらに日本の思想を通底する〈原型〉的意識などに注目,洋の東西を問わぬ該博な知識と強靱な分析力,機知にとんだ卓抜な表現と構成力によって,専門研究の枠を超えて広く読まれる,優れた作品を残した。また主体的な批判精神とリベラリズムに基づき,現実政治についても積極的に発言,1960年の安保反対闘争では,竹内好(よしみ),鶴見俊輔らとともに,知識人の行動の中心的な役割を担った。主な著書に《日本政治思想史研究》(1952年,英訳1974年),《日本の思想》(1961年),《増補現代政治の思想と行動》(1964年),《〈文明論之概略〉を読む》(1986年)など。《丸山真男集》がある。
→関連項目坂本義和|都留重人|鶴見俊輔|ノーマン|松下圭一|脇圭平
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丸山真男
まるやままさお
1914.3.22~96.8.15
昭和・平成期の政治学・政治思想史学者。大阪市出身。ジャーナリスト丸山幹治の次男。東大卒。東京帝国大学法学部助手・助教授をへて,1950~71年(昭和25~46)東京大学教授。東洋政治思想史の講座を担当。荻生徂徠(おぎゅうそらい)・福沢諭吉の学問と思想を中心に日本政治思想史研究に大きな業績をあげた。第2次大戦後,日本軍国主義者・超国家主義者の思想と行動の解明などの評論を次々に発表。自由主義・民主主義派の知識人として50~60年代の論壇に大きな影響を及ぼす。大学紛争をへて退官。日本学士院会員。大仏次郎賞・朝日賞受賞。著書「日本政治思想史研究」「現代政治の思想と行動」「日本の思想」。「丸山真男集」全16巻・別巻1。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
丸山真男 まるやま-まさお
1914-1996 昭和-平成時代の政治学者,思想史学者。
大正3年3月22日生まれ。丸山幹治の次男。昭和25年母校東大の教授となり,46年辞職。戦時中,近世儒学を研究,荻生徂徠(おぎゅう-そらい)の思想に近代意識の芽をみいだす。21年の論文「超国家主義の論理と心理」では,日本型ファシズムと天皇制国家の無責任体系を指摘。戦後の論壇を主導,また平和にむけて積極的に行動した。平成8年8月15日死去。82歳。大阪出身。著作に「日本政治思想史研究」「現代政治の思想と行動」「日本の思想」「忠誠と反逆」など。
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丸山 真男 (まるやま まさお)
生年月日:1914年3月22日
昭和時代;平成時代の政治学者;政治思想史家
1996年没
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報