出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
タコが海底穴に潜む習性を利用して捕獲する漁具。素焼の壺で、大きさや構造など地方によって多少異なるが、普通、口径10~20センチメートル、深さ20~40センチメートル、重量1~1.5キログラム。操業方法は、100~200メートルの幹縄(みきなわ)に5~10メートル間隔に1メートル程度の枝縄をつけ、その先に壺を1個ずつ結び付ける。これを一筋(ひとすじ)とし、タコが生息していそうな岩礁付近の海底に10~20筋を投入する。2、3日間放置してから幹縄をたぐって壺をあげ、中に入ったタコを船内に収納し、からになった壺はふたたび海中に投入する。漁獲性能をよくするため、コンクリートあるいはプラスチック製の壺の中に餌(えさ)を入れ、タコが餌をとると蓋(ふた)が閉じる有蓋(ゆうがい)式蛸壺も使用されている。このほか、イイダコをとるために用いるアカニシやナガニシなどの貝殻や、ミズダコをとるために用いる木製の箱形のものもある。
[吉原喜好]
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…(2)陥穽具類 定置網に匹敵するような大規模なものもあるえり類から,アカニシなどの殻を利用するイイダコ壺まで大小・形状さまざまであるが,なんらかの方法で対象種を誘集し,出にくい構造の漁具内に入らせる原理は共通である。餌を使うものが多いが,移動経路を知って仕掛けたり,産卵床(イカ籠),生息場所(蛸壺)を提供したりするものもある。せん,筌(うけ),どう,もんどりなどはおもに河川・湖沼で用いられる。…
…餌は巣穴にもち帰るか,または手近な穴に身を隠すかして食べる。この性質を利用した漁法が蛸壺で,タコの好みそうな容積をもつ入れ物をはえなわ式に海底に敷設する。以前は素焼きのつぼを用いたので〈蛸壺〉とか〈蛸がめ〉といわれたが,今はセメント製のものを用い,中にカニを餌としてつるしたり,タコが入るとふたの閉まるようなものさえある。…
※「蛸壺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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