衝突(物理)(読み)しょうとつ

百科事典マイペディア 「衝突(物理)」の意味・わかりやすい解説

衝突(物理)【しょうとつ】

(1)運動する2物体が互いに接して,ごく短時間だけ強い力(撃力)を及ぼし合う現象。衝突の前後で,2物体の運動量の和と角運動量の和は変わらないが,運動エネルギーは一部熱エネルギーに変わる。運動エネルギーが保存される理想の場合を完全弾性衝突という。一方の物体に対する他方の物体の相対速度を,衝突前でu,後でu′とすると,u′/u=eを反発係数といい,完全弾性衝突ではe=1,そうでなければ0≦e<1。(2)電子・陽子・α粒子光子等が同様粒子や原子分子に近接し互いに作用し合った後遠ざかる現象。ふつう衝突の前後で粒子の進行方向が変化する。衝突の前後で運動エネルギーの和が変化しない場合を弾性衝突,変化する場合を非弾性衝突という。後者では入射した粒子の運動エネルギーの一部が衝突された粒子に与えられ,原子や分子が励起状態に移ったり,核反応が起こったり,新粒子が放出されたりする。衝突の起こる確率を断面積といい単位バーンで表される。
→関連項目運動量保存の法則粒子線

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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