衣川郷(読み)きぬがわごう

日本歴史地名大系 「衣川郷」の解説

衣川郷
きぬがわごう

和名抄」東急本・高山寺本ともに訓を欠く。当郷は「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条に載せる衣川駅の所在地で、九条家本では駅名に「キヌカハ」との傍訓が付されている。なお河川名としての衣川(鬼怒川、中世には絹河とも)は「常陸国風土記新治郡の項や「続日本紀」神護景雲二年(七六八)八月一九日条にみえる「毛野川」が本来の名である。衣川駅の位置については一般に現宇都宮市石井いしい町付近に想定する意見が強いが、現上三川かみのかわ西木代にしきのしろ付近に求める見解もある。同駅の位置比定は、「延喜式」に三鴨みかも駅と衣川駅の中間駅として記されている田部たべ駅の位置と、東山道の鬼怒川渡河点とをどこに求めるかという問題と密接にかかわっている。

衣川郷
きぬがわごう

琵琶湖岸の衣川一帯に比定され、衣川御薗・衣川庄ともみえる。「日本紀略」寛和二年(九八六)二月一六日条によると、延暦寺座主尋禅の奏状をうけて、朝廷は「大津以北、衣川郷以南」の地を殺生禁断としており、衣川郷が同寺の広い意味での寺内に属していたことがわかる。長元八年(一〇三五)一一月五日の檀那院領衣川薗作田注文(九条家本延喜式裏文書)に延暦寺東塔の檀那だんな院領の衣川御薗がみえ、作田二町八反一八〇歩のうちの国衙領一町三反二〇歩に雑事が賦課されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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