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被災地のがれき処理 ひさいちのがれきしょり

知恵蔵の解説

被災地のがれき処理

東日本大震災により生じたがれきの多くは、大地震発生から1年以上が経過した現在も、なお被災地に放置され処理が進んでいない。政府は2014年3月末までをめどに処理を完了したいとしているが、遅れる可能性も出てきている。がれきの処理率は7パーセント弱に過ぎず、阪神・淡路大震災時の約50パーセントに比してその遅れが目立つ。こうした中で、環境省が12年3月6日の新聞全国紙朝刊に見開き全面広告を掲載し、「災害廃棄物」の広域処理についての理解を求めたことなどから、様々な議論を呼んでいる。
東日本大震災で生じたがれきの量は、環境省の試算によると岩手・宮城・福島3県合計で2300万トンあり、阪神・淡路大震災の2000万トンをやや上回る。阪神・淡路大震災では兵庫県で発生した可燃性の廃棄物のうち約14パーセントが県外で焼却され埋め立てられたという。これに沿って、東日本大震災では約400万トン、20パーセントに当たる量を、被災地以外の地域で処理するという。しかしながら、福島第一原子力発電所の事故によって放射能汚染された可燃物を焼却すると、焼却灰に放射性セシウムが濃縮されることや、焼却施設の能力的な問題などから受け入れが進んでいない。政府は安全性が確認された「災害廃棄物」の処分なので、人の健康に対する影響は無視できるとしている。
東北地方以外で初めて受け入れ処理を開始したのは東京都。受け入れに反対する声について石原慎太郎都知事は「みんなもう自分のことしか考えない」「日本人がだめになった証拠のひとつ」と語り、放射線量などを「測って何でもないから持ってくるんだから」「『黙れ』って言えばいい」などの扇情的な発言をして物議をかもした。また、政府はがれきの広域処理を強調するが、復興が進まないこととは別の問題だとの声が強い。被災地の岩手県陸前高田市長らによれば、広域処理だけではなく、現地にもがれき処理専門のプラントをつくれば、速やかな処理が進み産業の復興にもつながると県に具申したところ、門前払いのような形で断られたという。阪神・淡路大震災でのがれき処理費用はトン当たり2万円強であったが、東日本大震災では5、6万円と3倍近い費用が見込まれつつも十分な説明がなされていない。更に、がれきの広域処理の根拠となる法律が存在しないことなどから、受け入れについての各自治体の対応に隔たりが広がっている。

(金谷俊秀  ライター / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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