補聴器の選び方、使い方(読み)ほちょうきのえらびかたつかいかた

家庭医学館 「補聴器の選び方、使い方」の解説

ほちょうきのえらびかたつかいかた【補聴器の選び方、使い方】

◎まず補聴器が必要かを判断する
 4、5人の会話ですべての話を聞きとれないと感じたり、家族と一緒にテレビを見ながら話ができなかったりする場合は、補聴器が必要な程度難聴(なんちょう)である可能性があります。
 難聴の程度を、自分自身や家族が正しく判断することはむずかしいものです。補聴器を選ぶ前に、まず補聴器が必要かどうかの診断耳鼻咽喉科(じびいんこうか)で受けてください。聴力検査を受けると、補聴器が必要か否かを客観的に知ることができます。
◎補聴器の選び方
 補聴器は販売店で買い求めます。難聴のタイプに合わせて補聴器をきちんと調節してくれ、かつアフターケアを十分に行なってくれる販売店を選びましょう。耳鼻咽喉科医に販売店を紹介してもらうのが安全です。補聴器購入後に問題があれば、紹介した耳鼻咽喉科医に相談することができます。
 補聴器を選ぶ場合、値段外観(形)、音の聞こえ方、使いやすさなどが判断材料になります。安価で小さい補聴器を選びたがる人が多いのですが、使いこなせなければ困ります。自分で使いこなせることが第1、音の聞きやすさが第2で、外観は最後の判断基準と考えれば、買っても使わないようなことにはなりません。
 補聴器の形には、耳の穴に入る耳穴型、本体は耳のうしろにかけて音をチューブで導き耳栓(みみせん)を耳に入れて使う耳かけ型、携帯(けいたいラジオのような本体からコードでつながるイヤホンを耳に入れて使う箱型、の3種類があります。
 補聴器自体の扱いやすさは、箱型、耳かけ型、耳穴型の順にむずかしくなります。
 活発に仕事をする人は、耳かけ型か耳穴型が生活のじゃまになりません。会話の際、座っていることが多い人や、会議のときだけ必要な人には箱型が有効です。価格は箱型、耳かけ型、耳穴型の順に高くなります。
◎補聴器の使い方
 補聴器は、音を大きくする器械ですから、スイッチを入れれば音が大きく聞こえます。
 難聴の人には、会話を聞くのにちょうどよい音の大きさがあり、音が大きすぎると会話が聞きとりにくくなります。適切な大きさで補聴器を使用できるよう、ボリュームの調節に慣れてください。
 補聴器の耳せんが耳を密閉しないと、音がもれ、それが補聴器で大きくされ、ピーピー音が発生します。ピーピー音は耳に有害ですから避けてください。耳せんを適切な大きさにしてください。また、補聴器をつけてからスイッチを入れ、スイッチを切ってから補聴器をはずすようにしてください。
 老人性難聴は、小さい音が聞こえない、大きすぎる音はたいへんうるさい、十分な大きさで聞いても、ことばの聞きまちがいがある、などの症状があります。
 補聴器はたんに音を大きくするだけなので、補聴器をつけても、ことばがはっきりしないことも少なくありません。また、補聴器をつけて聞きとれる音は3m以内です。補聴器をつけても、隣の部屋で話す会話を聞きとることはできません。
 家族の人は、補聴器をつければすべての話がわかると思うかもしれませんが、それはむりな話です。家族の協力が必要で、近づいて、正面から、ふつうの大きさの声で、ゆっくり、はっきりと話してください。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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