裸の王様(読み)ハダカノオウサマ(英語表記)Keiserens nye Klaeder

デジタル大辞泉 「裸の王様」の意味・読み・例文・類語

はだかのおうさま〔はだかのワウさま〕【裸の王様】


原題、〈デンマークKeiserens nye Klaederアンデルセンが1837年に発表した童話。原題は「皇帝の新衣装」の意。衣装にうつつをぬかす王が仕立屋を装った詐欺師さぎしにだまされ、下着姿で町を練り歩く。
開高健短編小説。昭和32年(1957)発表。同年、第38回芥川賞受賞。
高い地位にあって周囲からの批判反対を受け入れないために、真実が見えなくなっている人のたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「裸の王様」の意味・読み・例文・類語

はだか【裸】 の 王様(おうさま)

(同名アンデルセン童話主人公から) 地位の高い人で、周囲からちやほやされて批判や反対を受けないために、本当の自分がわからなくなっている人のたとえ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「裸の王様」の意味・わかりやすい解説

裸の王様
はだかのおうさま
Keiserens nye Klaeder

アンデルセンの童話。1837年作。原題は『皇帝の新衣裳(いしょう)』。14世紀スペインのドン・マヌエルの『ルカノール伯』中の一挿話の翻案で、おしゃれ好きの王様が旅の裁縫師ペテンにかかるという大筋もそれによっているが、二つの点で原作を改めている。一つは、ペテン師たちが織っている布は姦通(かんつう)から生まれた者には見えないというのを、自分のついている地位にふさわしいだけの才能をもたない者には見えないとしたこと、もう一つは、王様は裸だと指摘するのが、もとは馬丁だったのを、いわば「天の声」である子供の口から叫ばせたこと。これによって、ただ奇異なだけの原作が社会批判を潜めた不朽の童話の名作となった。

[山室 静]

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