精選版 日本国語大辞典 「見立」の意味・読み・例文・類語
み‐たて【見立】
- 〘 名詞 〙
- ① 出発する人を見送ること。見送り。送別。
- [初出の実例]「石部泊り、是迄太夫様から御見立(ミタテ)にと、平蜘の雲八、禿の市彌をつけられ」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)四)
- ② 見て、適当なものを選び出すこと。見はからうこと。判断。鑑定。
- [初出の実例]「棚のあたり真葛乱て何と哉 責て見立の思ひよる露」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第一九)
- ③ 近世遊里で、客が相方(あいかた)としての遊女を選ぶこと。おみたて。
- [初出の実例]「音曲地口(おんぎょくしぐち)見立けん酒等に座敷をくつろげ」(出典:洒落本・魂胆惣勘定(1754)上)
- ④ 医師による診断。
- [初出の実例]「養生さかりを四十の陰まで、うかうか暮されし事よ。少し見立おそけれ共、いまだよい所あるは」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)三)
- ⑤ 作柄を実際に見ること。検見。
- [初出の実例]「其余は百姓と公方と見立に沙汰也」(出典:三箇院家抄(1469頃)四)
- ⑥ 思いつき。趣向。考え。
- [初出の実例]「所は御江戸なれば、何をしたればと商の相手はあり。珍敷見立もがなと、日本橋の南詰に曙より一日立つくしけるに」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)三)
- ⑦ あるものを、それと共通点のある別のものだとして取り扱うこと。別のものになぞらえること。とりなすこと。
- [初出の実例]「取なり初心にして町人の若衆とはよきみ立なり」(出典:評判記・難波立聞昔語(1686)花井才次郎)
- ⑧ 俳諧で、あるものを他のものになぞらえる作りかた。また、比喩仕立ての句。
- [初出の実例]「見たて 川岸の洞は蛍の瓦燈かな」(出典:俳諧・毛吹草(1638)一)
- ⑨ 歌舞伎で、類似の他のものを連想させて表現すること。様式美を形成する主要な要素の一つ。たとえば、「不動の見得」とは、不動明王の姿の見立てによる見得である。