若衆(読み)ワカシュ

デジタル大辞泉の解説

わか‐しゅ【若衆】

年若い者。若者。若い衆。
美少年。特に、男色の対象となる少年。ちご。
「ほれた―と参会の夜」〈仮・犬枕〉
江戸時代、元服前の前髪姿の少年。
「さもいつくしき女房たち、又は―も打ち交じり」〈仮・恨の介・上〉
男色を売る男。また、歌舞伎役者で、舞台をつとめるかたわら男色を売った者。歌舞伎若衆。歌舞伎子。陰子(かげこ)。色子。
「堺町の若女形、瀬川菊之丞といへる―の色に染められて」〈根無草

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百科事典マイペディアの解説

若衆【わかしゅう】

日本で地域によって若い衆若者,若,二才(にせ)などともよばれ,15歳前後から妻帯時までの男性を指す語。地域共同体ごとに組織された若者組に参加し,若者宿に入って一定期間の集団生活を体験し,若者組自体が共同体の社会的機能のある部分を担当するなかで,その共同体の成員としての生活に必要な事柄を習得する。近代には青年団に改組された。

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世界大百科事典 第2版の解説

わかしゅう【若衆】

若い衆,若者,若,若連,若勢,二才(にせ)ともよばれ,15歳前後から妻帯時までの男性を指す用語。若衆組に参加すると,若者宿に入って序列を相互に確認し合い,一定期間集団生活を体験し,地域共同体の生活に必要な事柄を習得する。若衆組は近代になると青年団に改組されたが,青年団は地域社会の実務を担当した。1637年(寛永14),近江国蒲生郡蛇溝村が隣村の今堀村と水争いをしたとき,実力行使の先頭にたったのは若衆であった。

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大辞林 第三版の解説

わかしゅ【若衆】

〔「わかしゅう」とも〕
若い男。若者。青年。若い衆。
江戸時代、元服前の少年。
陰間かげま」に同じ。 「それよりこの-に移り気になりて/浮世草子・男色大鑑 6
男色関係にある少年。ちご。 ⇔ 念者 「よき-に千松といへるあり。かれにうち惚れ執心あり/咄本・醒睡笑」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

若衆
わかしゅう

元服前の前髪立ちの少年をさすが、単に若者の意もある。若衆はまた陰間(かげま)とともに、衆道における江戸初期からの呼び名である。男色関係で若衆はとくに17、8歳までの弟分をさし、兄分の念者とは義理を重視する間柄であった。若衆髷(まげ)に薄化粧で、華やかな伊達(だて)衣装に身を飾った。また、若衆歌舞伎(わかしゅかぶき)の少年俳優に男色の相手をする者がいた。のちには一般客をとる男娼(だんしょう)が出現し、江戸では陰間茶屋として宝暦(ほうれき)(1751~64)前後に全盛をみた。[稲垣史生]

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精選版 日本国語大辞典の解説

わかい‐しゅ【若衆】

〘名〙 (「わかいしゅう」とも)
① 年若い男子。若い者。
※虎明本狂言・老武者(室町末‐近世初)「わかひしゅうの申さるるは」
② 特に、肉体労働などに従事する元気のよい人。若い者。
※婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「一寸(ちょいと)車夫(ワカイシュ)に声を懸けたが」
③ 商店などで、小僧より年長で階級の上の者のこと。手代。若い者。
浮世草子・好色一代女(1686)四「第一内かたは(りんき)ふかし面屋の若(ワカ)い衆(シュ)と物云事も嫌ひ給ふなり」
④ 歌舞伎の楽屋、芝居茶屋、遊郭などで働く男をいう。若い者。
※洒落本・呼子鳥(1779)品川八景「わかいしゅおれがぞうりをくんない」
⑤ 歌舞伎で、最下級の役者をいう。普通は番付に名が出ない。
滑稽本・客者評判記(1811)中「馬役をつとむる者は若い衆(シュ)ではござらぬ」

わか‐しゅ【若衆】

〘名〙 (「わかしゅう」とも)
① 年若い者。若者。特に、元服前の男子。若衆髷(わかしゅまげ)の男子。
※江家次第(1111頃)一〇「於笞辺哥笛、所雑色若衆舁御琴、或此間被一舞
② 中世、村落を構成する若者集団。村は乙名(おとな)・中老・若衆からなり、若衆は、村の軍事・警察力として機能した。
※菅浦文書‐寛正二年(1461)七月一三日・菅浦惣庄置文「上廿人乙名、次之中乙名、又末の若衆相ともに、如法致可沙汰」
③ 寺院で、大僧となる以前の少年僧。
※高野山文書‐永享七年(1435)六月晦日・両所十聴衆評定事書「就其、若衆被子細事、先寺家之掟、可先規之条勿論也」
④ 美しい少年。美少年。特に、男色の相手をする少年。男色関係にある少年。ちご。
※俳諧・竹馬狂吟集(1499)九「なに事もしらぬ若衆のそばにねて うしろをまへになすよしもがな」
⑤ 歌舞伎役者で、舞台に出るかたわら男色を売った者。歌舞伎若衆。また、一般に男色を売ることを業とする男。歌舞伎子舞台子。色子(いろこ)。陰子(かげこ)
※勝山記‐享祿四年(1531)「猿楽と申若衆と申。言語道断見物此事に候」

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世界大百科事典内の若衆の言及

【宮座】より

…14世紀以降の荘園制の解体と惣庄・惣村((そう))の成立により地縁的な性格を強めた宮座の活動が近畿地方を中心に顕著にみられるようになった。そこでは左座と右座,東座と西座,横座・中座・下座,古座と新座というように重層的な構造をもつものがみられ,また宮座を構成する座衆が若衆,中老,おとな(乙名,老,年寄)という﨟次(ろうじ)により区分される例がみられた。この時期には惣村制を背景に宮座のおとな層が惣村の運営にあたることも多かった。…

【老若】より

…《日葡辞書》に〈老人と若者と〉とある。〈老若男女〉〈貴賤老若〉というように,本来はすべての人を意味する語句であるが,江戸時代の共同体社会では,おとな(老人)と若衆とを指し,二つの年齢集団を意味する用語である。若衆は15歳前後から老人になる以前の若者集団,老人は老人成(官途成)の儀礼を通過したものをいう。…

※「若衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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