日本大百科全書(ニッポニカ) 「計器用変成器」の意味・わかりやすい解説
計器用変成器
けいきようへんせいき
電気計器の測定範囲の拡大を目的とする変成器。変成器とは変圧器、変流器などを区別しないときに使われる用語で、この場合も計器用変流器と計器用変圧器とをあわせていう。交流回路で用いられるが、測ろうとする回路と計器の回路とを、計器用変成器によって電気的に完全に絶縁できるので、送配電線路のような高電圧・大電力回路では、計器を電線路から絶縁して、取扱者の安全を保つ目的でも使用される。
動作原理は電力用変圧器とまったく同じであるが、使用目的の違いから構造は著しく異なる。電力用変圧器では絶縁のほか、出力および冷却が問題になる。計器用変成器では絶縁に細心の注意を要するのは当然であるが、さらに一次・二次間の変成比を正しくすることも重要となる。
直流では測定範囲の拡大に普通、分流器、倍率器などが用いられるが、電気鉄道や化学工場などのようにキロアンペア以上の大電力回路になると、絶縁や出力の関係から、半導体のホール効果を利用したホール素子型や可飽和リアクトルを、単独または回路と組み合わせた磁気増幅器型などの直流計器用変成器も用いられる。
[高尾利治]