設立費用(読み)せつりつひよう

改訂新版 世界大百科事典 「設立費用」の意味・わかりやすい解説

設立費用 (せつりつひよう)

会社の設立事務に関して必要な費用をいう。定款および株式申込証の作成,広告,創立事務所の賃借,通信,事務員の給料等のための費用がこれにあたるが,定款の認証の手数料および株式払込銀行等の報酬は含まれない。設立費用は発起人が一時立替えをし会社が成立したときには計算上会社の負担となる。しかし,乱費や過大見積りが行われると会社の財産的基礎が危うくなるので,それを防ぐため,法はこれを〈変態設立事項〉の一つとして,定款および株式申込証にその限度を記載させ(商法168条1項7号,175条2項7号,有限会社法7条4号),かつ,創立総会承認(募集設立のとき)または裁判所の検査(発起設立のとき)を要するものとし(商法173条,181条,185条。検査役),記載のない額や記載超過額(あるいは創立総会の承認等を得られない額)は,会社の負担とはならないものとしている。なお,会社の負担となった額は,創立費の一部として繰延勘定に計上し,会社成立後5年内に償却しなければならない(商法286条,有限会社法46条1項)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「設立費用」の意味・わかりやすい解説

設立費用
せつりつひよう

会社の設立事務に関する必要費用。創立費を構成する費用の一種で,定款目論見書などの作成費,株式募集その他のための広告費,設立事務所の賃借料,通信費,事務員の給料などからなる。支出を無制限に許容すると,発起人による不当な支出や過多な見積もりなどが行なわれやすく,会社の財産的基礎をそこなうおそれがあるので,会社法はこれを変態設立事項の一つとして定款にその限度額を記載させ(28条4号),裁判所の選任する検査役による調査(33条)などの厳重な手続きを要することとした。ただし,そのおそれのない定款認証手数料や印紙税,および株式の払込取扱銀行などに支払うべき報酬などは,定款に記載しなくとも会社の負担とされる。定款などに記載のない額,記載超過額などは発起人の負担となる。

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