診療報酬点数(読み)しんりょうほうしゅうてんすう

百科事典マイペディア 「診療報酬点数」の意味・わかりやすい解説

診療報酬点数【しんりょうほうしゅうてんすう】

医療保険制度のもと,病院や医師が患者に対して行う個々の診療行為やサービスにつけられた点数のこと。厚生大臣が定めている。 この点数をもとに,1点当り10円として計算され,それぞれの医療費が算出される。こうしたシステムを〈出来高払い制〉という。点数は初診料,投薬料,注射料などの項目ごとに表示され,毎年見直しが行われる。 各医療機関はカルテをもとに,患者一人ひとりについて診療点数を記入した診療報酬明細書(通称レセプト)を作成し,診療報酬請求書とともに,月ごとにまとめて審査支払機関へ提出する。その場合に,医療機関が請求する金額は,患者本人が直接支払う一部負担金を除いた額である。 審査支払機関とは,各医療機関が提出したレセプトおよび診療報酬請求書を審査し,請求額が正当であるかどうかを確認する機関のこと。組合管掌健康保険政府管掌健康保険,生活保護などの公費負担医療を扱う〈社会保険診療報酬支払基金〉と,国民健康保険を扱う〈国民健康保険団体連合会〉とがある。 審査が済んだ請求書は,各健康保険組合および国,市町村などの保険者(健康保険の経営主体)に回される。医療機関が受け取る診療報酬は,この逆の経路をたどり,保険者から審査支払機関を通じて支払われる。 生活保護による医療扶助(ふじょ)などの公費負担医療費も,点数計算は同様で,各自治体から支払基金を経由して医療機関に支払われる。 厚生省は,記載内容から患者に病名などがわかってしまうとの見解から,レセプトに書かれた診療内容や金額については患者にすら開示しないよう指導してきた。しかしそのために,医療機関が不正請求を行っても,誰もその事実に気がつかないという指摘もあり,カルテ開示と同様に,〈レセプトの開示〉に対する要求が高まった。 1997年6月,厚生省は患者やその代理人の求めに応じて原則開示するように都道府県知事宛てに通知し,1998年秋からは,レセプト電算処理システムを全国展開させる方針を固めた。→国民医療費老人医療費
→関連項目血液透析

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