改訂新版 世界大百科事典 「評書」の意味・わかりやすい解説
評書 (ひょうしょ)
píng shū
中国の講談。柳敬亭(1587-1670?)を始祖としている。評書は北方,湖北,四川などでの呼称。江南,福州では評話と呼ぶ。それぞれ風格,言語,演出法に相違はあるが,扇子,手ぬぐいと醒木なる木片(玉もある)を打つのは共通である。出し物は王朝物に《三国》《西漢》,合戦物に《岳飛》《英烈》,緑林物に《水滸》《七俠五義》,神怪物に《西遊記》《聊斎志異》《済公伝》などあり,もとは師伝のものと活字をもとにしたものとがあったが,名人は前者に多く属し,《三国》読み《水滸》語りの流派を形成していた。解放後は素人の経験談の会,故事会や小説からの題材をもとに新作が多数生まれ(《林海雪原》《紅岩》など),活字をもとに語られる。数ヵ月に及び語りつぐので毎日“やま”をつくり興味をつないだことから,それも特色になっている。人物,情景の微細な描写に,比喩,洒落言葉,俚諺などを駆使するので,口技のほかに言語の豊かさ,繊細な感覚を非常に要求される。
執筆者:吉川 良和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報