豇豆・大角豆(読み)ささげ

精選版 日本国語大辞典 「豇豆・大角豆」の意味・読み・例文・類語

ささげ【豇豆・大角豆】

〘名〙
① マメ科の一年草。中央アフリカ原産で、日本でも古くから栽培されている。茎はつる性で長くのびるもの、つる状にならないものもある。葉は互生で長柄をもち三小葉からなる。小葉は柄があり卵状菱形で長さ八~一五センチメートル。夏、葉腋(ようえき)淡紫色の蝶(ちょう)形花を二~三個ずつつける。果実は長さ一五~二〇センチメートルの線形の莢(さや)で上を向いてつく。種子は長さ一センチメートル内外で、白・黒・褐色・赤褐色など品種によって異なる。おびただしい数の栽培品種があり、実用面からは若莢を食用とするもの(サヤササゲ)、種子をとるもの(ミトリササゲまたはハタササゲ)に大別される。また、ジュウロクササゲ、サンジャクササゲなど莢の著しく長くなる一群がある。種子は餡の原料にしたり、強飯(こわめし)にまぜてたいたりする。漢名、豇豆。《季・秋》
▼ささげの花《季・夏》
正倉院文書‐写経司解・天平一一年(739)八月一一日「佐々気四升 直銭十六文」
※俳諧・晉明集(1772‐89頃)二「ささけ採籬のそなたや生駒サゲ 山」
② (形がジュウロクササゲに似ているところからいう) 振袖広袖仕立にして、袖丈の肩山から三分の一のところにつけた色無地の細長い布。江戸時代、文化(一八〇四‐一八)以前、京坂地方で盆踊りなどの衣服につけた。また、歌舞伎衣装の禿などの袖口に垂れている五色の紐をいう。
※青物料理の献立(1830‐44)「をどりゆかたの ささげ」
③ (男を竹にたとえるのに対して) 女にたとえていう語。
歌謡鄙廼一曲(1809頃)科埜の国春唄曳臼唄ともに諷ふ「思ひ出しては死ぬほど口惜し、ならぬ大角豆(ササゲ)に手をくれて」

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