販売代理店(読み)はんばいだいりてん

改訂新版 世界大百科事典 「販売代理店」の意味・わかりやすい解説

販売代理店 (はんばいだいりてん)

販売ないしは購買を行おうとする本人principalsのために,販売ないしは購買の代理または媒介を行う業者を,一般に代理商agent middlemenというが,販売代理商ないしは販売代理店は,そのような代理商の一形態であり,主として販売の代理や媒介を行うものをいう。これに対して,主として購買の代理や媒介を行うものを,買付代理商ないしは買付代理店という。

 代理という行為は,委任者である本人の代理人として取引の交渉や契約を行う締約代理と,取引先を探して本人に紹介し取引の仲介をするだけの媒介代理とがあり,締約代理は,さらに,他人の名前で他人のために取引の交渉や契約を行う顕名代理(ないしは直接代理)と,自己の名前で他人のために交渉や契約を行う非顕名代理(ないしは間接代理)とに分けられる。日本の商法上(551条)の問屋は,非顕名代理の法的裏づけであり,日本における現実の取引では圧倒的に非顕名代理のケースが多い。

 販売代理商ないしは販売代理店は,一般に,製造業者など特定の本人の手が及ばない新しい市場やへんぴな市場を開拓し維持していく場合などに,随時,あるいは常時継続的に利用されるのが通例であるが,近年,とくに,販売代理店(ないしは,単に代理店)と呼ぶ場合には,異なった意味合いで用いられていることが多い。すなわち,近年,製造業者による流通経路系列化が広く行われるようになるのにともなって,特定の製造業者の系列下に入った卸売業者(当該製造業者の商品に関する一定の販売権を与えられた卸売業者で,商品を買い取って取引する差益商業者)を,販売代理店(ないしは代理店)と称することが通例となってきている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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