賀殿(読み)カテン

デジタル大辞泉 「賀殿」の意味・読み・例文・類語

かてん【賀殿】

雅楽舞曲唐楽壱越いちこつ調で新楽中曲。四人舞。曲は承和年間(834~848)に伝来、舞は林真倉はやしのまくら作という。

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精選版 日本国語大辞典 「賀殿」の意味・読み・例文・類語

かてん【賀殿】

  1. 賀殿〈舞楽図譜 宮内庁書陵部蔵〉
    賀殿〈舞楽図譜 宮内庁書陵部蔵〉
  2. 雅楽。左方。壱越(いちこつ)調。新楽。四人舞。承和年間(八三四‐八四八)遣唐使藤原貞敏が琵琶(びわ)曲で伝え、舞は林真倉(はやしのまくら)が作ったという。甘泉楽。嘉祥賀殿楽。
    1. [初出の実例]「万歳楽、太平楽、かてんなどいふ舞ども」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一〇月一六日)

賀殿の補助注記

「教訓抄‐一」には、この曲には「さらゐつき」という秘事があり、たやすく奏されるものではなかったことが記される。

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改訂新版 世界大百科事典 「賀殿」の意味・わかりやすい解説

賀殿 (かてん)

雅楽,舞楽曲名。嘉殿とも書き,甘泉楽,含泉楽ともいう。唐楽,壱越(いちこつ)調,四人舞,文(ぶん)ノ舞。番舞(つがいまい)は《長保楽》。左方襲(かさね)装束常装束とも)に別甲(べつかぶと)をかぶり片肩袒(かたかたぬぎ)で舞う。遣唐使藤原貞敏が琵琶譜を唐から伝え,楽人の林真倉(はやしのまくら)が舞を作ったという説や,和邇部太田麿(わにべのおおたまろ)の作という説がある。演奏次第は,壱越調調子,音取-道行(《迦陵頻(かりようびん)》急,早八拍子,舞人登場)-破(延八拍子)-急(2帖,早四拍子)-急の重吹(しげぶき)(退場)。破と急が当曲舞。なお,双調に〈破〉と〈急〉の渡物(わたしもの)が管絃曲としてある。
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