政府が、法律に基づいて銀行融資、増資、起債などを認可の対象とし、その優先順位を定めるなど、資金の配分について関与すること。第二次世界大戦時および戦後の統制経済時代には限られた資金を政策目的に即して供給することが要請され、この種の措置がとられた。中央銀行の金融政策が通貨・信用の量を調節し、その配分を市場メカニズムの決定に任せる量的規制であるのに対して、この資金統制は、資金の量でなく、その配分が規制対象である点から、質的金融統制というべきものである。
日本の例としては、第二次世界大戦中から戦後にかけて続けられた臨時資金調整法(1937年9月公布)による企業の設備資金調達の規制、戦時中の銀行等資金運用令(1940年10月公布)による運転資金融資の規制、戦後の金融機関資金融通準則(1946年2月公布の金融緊急措置令に基づく)による緊急産業への融資を優先確保するための取決めなどがあった。これらは1950年(昭和25)前後にいずれも廃止された。
なお、消費者信用規制や株式証拠金率操作などの選択的信用調節も広義の質的金融統制に含めることができる。
[石田定夫]
…企業の長期・短期資金について,特定期間における調達・運用のフローや特定時点の在高をめぐって展開される計画設定活動や統制活動の総称。資金計画と資金統制とに区分される。そこでは,資金管理の目的に応じて,現金,貨幣資産,総運転資本または正味運転資本などのいずれかが,資金概念として選択される。…
※「資金統制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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