1946年2月17日,GHQの指令にもとづき,総合的インフレ対策の一環として公布施行されたモラトリアム法令。同令と同時に日銀券預入令,臨時財産調査令,食料緊急措置令,物価統制令などが公布施行されている。2月17日現在で預金等の金融機関の債務を凍結し,3月3日を期して旧円と新円とを切り換え,1人100円に限って新円との交換を認め,それ以上の旧円(5円券以上)はすべて金融機関に預け入れさせ,既存の旧円預金ともどもこれを封鎖した。ただし一定の生活資金と事業資金のみについては,封鎖小切手または新円での引出しが認められた。一方,俸給や賃金等はすべて月額500円までは現金払いとするが,それ以上は封鎖支払いとされた。なお俸給や賃金に依存しないものについては,上記の生活資金として月額世帯主300円(のち100円),世帯員1人100円の現金引出しが認められた。
この措置によって通貨は一挙に75%も収縮し(2月16日の日銀券615億円から3月12日の152億円へ),金融機関は預金引出しの制限と預入れ増加により危機を脱し,インフレーションも一時小康をえた。しかし,封鎖預金はぬけ穴を通じて引き出されたほか,封鎖預金自体も預金通貨として購買力化されたうえ,赤字財政も継続したため,結局,この政策は短期間で失敗し,ふたたびインフレーションは高進していった。なお,措置令にもとづき47年3月金融機関資金融通準則が出されたので,措置令そのものは63年まで存続した。
執筆者:林 健久
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第2次大戦後のインフレーションの終息を目的とした緊急勅令。1946年(昭和21)2月17日公布施行。幣原(しではら)内閣が前日に発表した経済危機緊急対策は,金融緊急措置令と日本銀行券預入令が中心。内容は施行当日の預金などを原則的に封鎖,5円以上の日銀券(旧円)の強制通用力の3月3日以降の喪失,旧円を金融機関に預け入れさせ封鎖預金とするなど。そのうえで新日銀券(新円)を発行し,毎月の生活費と事業用に一定額を封鎖預金から新円で引き出させることとした。旧円の回収額は約500億円にのぼり,発行額の80%強が回収され大幅な通貨収縮をもたらしたが,一時的効果にとどまり,インフレはさらに進行した。
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