金融緊急措置令(読み)キンユウキンキュウソチレイ

デジタル大辞泉 「金融緊急措置令」の意味・読み・例文・類語

きんゆう‐きんきゅうそちれい〔‐キンキフソチレイ〕【金融緊急措置令】

昭和21年(1946)2月、敗戦後の急激なインフレーション抑制のために行われた預金封鎖新円切り替えなどの措置

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精選版 日本国語大辞典 「金融緊急措置令」の意味・読み・例文・類語

きんゆう‐きんきゅうそちれい‥キンキフソチレイ【金融緊急措置令】

  1. 第二次世界大戦後の物価上昇を抑制するために、昭和二一年(一九四六)施行された緊急勅令預金封鎖、新円切換、財産税徴収などについて定められていた。同三八年廃止。

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改訂新版 世界大百科事典 「金融緊急措置令」の意味・わかりやすい解説

金融緊急措置令 (きんゆうきんきゅうそちれい)

1946年2月17日,GHQ指令にもとづき,総合的インフレ対策の一環として公布施行されたモラトリアム法令。同令と同時に日銀券預入令,臨時財産調査令,食料緊急措置令,物価統制令などが公布施行されている。2月17日現在で預金等の金融機関債務を凍結し,3月3日を期して旧円と新円とを切り換え,1人100円に限って新円との交換を認め,それ以上の旧円(5円券以上)はすべて金融機関に預け入れさせ,既存の旧円預金ともどもこれを封鎖した。ただし一定の生活資金と事業資金のみについては,封鎖小切手または新円での引出しが認められた。一方,俸給賃金等はすべて月額500円までは現金払いとするが,それ以上は封鎖支払いとされた。なお俸給や賃金に依存しないものについては,上記の生活資金として月額世帯主300円(のち100円),世帯員1人100円の現金引出しが認められた。

 この措置によって通貨は一挙に75%も収縮し(2月16日の日銀券615億円から3月12日の152億円へ),金融機関は預金引出しの制限と預入れ増加により危機を脱し,インフレーションも一時小康をえた。しかし,封鎖預金はぬけ穴を通じて引き出されたほか,封鎖預金自体も預金通貨として購買力化されたうえ,赤字財政も継続したため,結局,この政策短期間で失敗し,ふたたびインフレーションは高進していった。なお,措置令にもとづき47年3月金融機関資金融通準則が出されたので,措置令そのものは63年まで存続した。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「金融緊急措置令」の解説

金融緊急措置令
きんゆうきんきゅうそちれい

第2次大戦後のインフレーションの終息を目的とした緊急勅令。1946年(昭和21)2月17日公布施行。幣原(しではら)内閣が前日に発表した経済危機緊急対策は,金融緊急措置令と日本銀行券預入令が中心。内容は施行当日の預金などを原則的に封鎖,5円以上の日銀券(旧円)の強制通用力の3月3日以降の喪失,旧円を金融機関に預け入れさせ封鎖預金とするなど。そのうえで新日銀券(新円)を発行し,毎月の生活費と事業用に一定額を封鎖預金から新円で引き出させることとした。旧円の回収額は約500億円にのぼり,発行額の80%強が回収され大幅な通貨収縮をもたらしたが,一時的効果にとどまり,インフレはさらに進行した。

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百科事典マイペディア 「金融緊急措置令」の意味・わかりやすい解説

金融緊急措置令【きんゆうきんきゅうそちれい】

1946年2月17日,戦後インフレ阻止の経済危機緊急対策として公布されたモラトリアム立法。預金その他の金融機関の債務を一切封鎖し,その支払いを原則として禁止。政府は同時に日銀券預入令も公布して,新円を発行,通貨安定を策し,これらによって当時600億円にものぼった日銀券発行高は急速に縮小し,インフレ進行は一時的に小康を保った。
→関連項目融資準則

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旺文社日本史事典 三訂版 「金融緊急措置令」の解説

金融緊急措置令
きんゆうきんきゅうそちれい

1946年2月,第二次世界大戦終了直後の激しいインフレ収拾策として公布された勅令83号
終戦時流通貨幣量は600億円で,しかも生産力は底をついてアンバランスであったので,旧憲法の緊急勅令を利用して預金を封鎖し,旧円を新円に切り換えた。

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