赴・趣(読み)おもぶく

精選版 日本国語大辞典 「赴・趣」の意味・読み・例文・類語

おも‐ぶ・く【赴・趣】

[1] 〘自カ四〙
① その方に向く。
※蘇悉地羯羅経寛弘五年点(1008)下「茅草の上に頭を東に面(オモフイテ)臥す」
② その方に向かって行く。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)五「唯し種種の投げ火に赴(オモフキ)自ら餓(いひにうゑ)たるが等き行を修するのみ」
③ その方に心が向く。
※蘇悉地羯羅経寛弘五年点(1008)中「若し我等を請して漫荼羅に赴(オモフカシメ)む者虔誠の心を以て法の如く供養せは」
[2] 〘他カ下二〙
① 従わせる。同意させる。
※続日本紀‐天平元年(729)八月五日・宣命(蓬左文庫本)「教へ賜ひ、於毛夫気(オモブケ)賜ひ、答へ賜ひ、宣り賜ふまにまに〈略〉天の下の政を行ひ賜ひ」
② しむける。勧める。教化する。
※続日本紀‐天平勝宝元年(749)四月一日・宣命「父がかくしまにあれと念ひて於母夫(オモブケ)教へけむ事、過たず失はず」
③ 特定の立場によって、物事を解釈する。…とみなす。
源氏(1001‐14頃)藤袴「年頃かくてはぐくみきこえ給ひける御心ざしを、ひがざまにこそ人は申すなれ。かのおとども、さやうになむおもぶけて」
[補注]同義の「おもむく」に比して、訓読語、男性語としての傾向が強い、とする説がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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