デジタル大辞泉
「向かう」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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むか・うむかふ【向・対】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 「むきあう(向合)」の変化した語 )
- ① 他の正面に対して自分の正面を向ける。相対する。
- [初出の実例]「尾張に 直に牟迦幣(ムカヘ)る 尾津の崎なる 一つ松 あせを」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「あした旅立に、我々にむかひて、行衛しらぬ旅のうさ、〈略〉と泪を落す」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)市振)
- 「竹代も今夜ばかりは机に対(ムカ)うことを止めて」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉四)
- ② 互いに相手を前にする。対座する。
- [初出の実例]「吾が見し子に うたたけだに 牟迦比(ムカヒ)をるかも い副ひをるかも」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「入道ふしめになて、〈略〉あのすがたに腹巻をきて向はん事、おもばゆうはづかしうや思はれけん」(出典:平家物語(13C前)二)
- ③ その方向に面を向けて進む。おもむく。出むく。
- [初出の実例]「日の本のちちははにむかふべきたよりをあたへむ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- 「都合其勢一千人、手々にたい松もって如意が峯へぞむかひける」(出典:平家物語(13C前)四)
- ④ 時が近づく。その時になろうとする。また、時が移ってその状態になろうとする。
- [初出の実例]「また秋のうれへの色にむかふなり尾花が風に庭の月影〈従三位親子〉」(出典:玉葉和歌集(1312)秋上・五三五)
- 「ハルニ mucǒ(ムカウ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ⑤ 二つのものが肩をならべる。相当する。匹敵する。
- [初出の実例]「直に逢ひて見てばのみこそたまきはる命に向(むかふ)吾が恋止まめ」(出典:万葉集(8C後)四・六七八)
- 「一人が千人にむかふ者をおかんとゆふ」(出典:天正本狂言・今参(室町末‐近世初))
- ⑥ はむかう。逆らう。はりあう。対峙する。
- [初出の実例]「与敵 下牟可布 音着」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
- 「テキニ mucǒ(ムカウ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 向かわせる。向かうようにする。
- [初出の実例]「悲び哭きつつ逆(ムカヘ)前(すす)み来る」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇)
- 「クゲ ブケ トモニ ヲモテヲ mucaye(ムカエ) カタヲ ナラブル ヒトモ ゴザナカッタ」(出典:天草本平家(1592)一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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