マッハ数(読み)まっはすう(英語表記)Mach number

翻訳|Mach number

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッハ数」の意味・わかりやすい解説

マッハ数
まっはすう
Mach number

流体の流速v音速cの比M=v/cマッハ数という。オーストリア物理学者のE・マッハが導入した概念。流体の流れのようすは、マッハ数が1より大きいか小さいかによって非常に異なる。海面時速約1225キロメートル、成層圏で約1060キロメートルがマッハ数1の速さである。

 マッハ数が1より小さい流れを亜音速流、1より大きい流れを超音速流という。マッハ数が1より十分小さい流れでは流体の密度の変化を無視し、縮まない流体とみなせる。一方、超音速流では、流れの中に衝撃波が発生するなど、流れのようすは複雑となる。空気中を運動する物体の周りの流れでも、マッハ数が1を超えると、衝撃波が発生し、空気抵抗は急激に大きくなる。超音速飛行機などでは、衝撃波ができるだけ発生しないように、あるいは発生しても弱くなるように、後退翼にし、飛行機の先端を鋭くするなど種々のくふうがなされている。

[坂下志郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マッハ数」の意味・わかりやすい解説

マッハ数
マッハすう
Mach number

流体の速度 u と流体中の音速 c との比 u/c を表わす次元のない数。普通 M で表わす。圧縮性流体に対しては,この比によって流れの性質がほとんど定まる。静止流体中を物体が動くときには,物体の速度と流体中の音速の比をマッハ数という。

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