日本大百科全書(ニッポニカ) 「身体活動レベル」の意味・わかりやすい解説
身体活動レベル
しんたいかつどうれべる
physical activity level
日常の身体活動を、強度に応じて3段階(低い、ふつう、高い)に区分し数値で表したもの。英語の頭文字をとってPALと略称する。各身体活動レベルの日常生活の内容は、「低い(Ⅰ)」は生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合、「ふつう(Ⅱ)」は座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合、「高い(Ⅲ)」は移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣をもっている場合とされる。また、各レベルの値(18~69歳)は、それぞれ低い1.50(1.40~1.60)、ふつう1.75(1.60~1.90)、高い2.00(1.90~2.20)とされる。なお、70歳以上ではそれぞれ1.45、1.70、1.95とされる。
身体活動レベルの数値は、1日に必要な摂取エネルギー(カロリー)量を推定するのに用いられる。たとえば、成人(妊婦、授乳婦を除く)では、推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルで算出する。なお、基礎代謝量とは、早朝空腹時の快適な室内において心身ともに安静な状態で必要な最小限のエネルギーである。身体活動の強度の指標には、ほかにAf(activity factor)やMETs(メッツ)(metabolic equivalents)がある。Afは、動作の強度が基礎代謝の何倍にあたるかを1分あたりの指数で示したもので、なにも動作をせずにいる状態が1Afである。METsは、安静時の身体活動の強度を1METsとして、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を表すものである。
[編集部 2017年8月21日]