知恵蔵 「輸入冷凍エビの価格高騰」の解説
輸入冷凍エビの価格高騰
EMSは2009年、中国南部の養殖池で初めて発生が確認された。その後、東南アジア各地に広がり、12年末以降は最大の輸入相手国であるタイの養殖池にも大きな被害をもたらしている。13年のタイの生産量は、前年の4~6割ほどに落ち込むと予測されており、消費量が急増している中国を軸に、世界中でエビの争奪戦が激化している。
米国の研究機関によると、EMSは海中に生息する細菌(Vibrio parahaemolyticus)による感染が原因とみられる。しかし、広範囲に感染が拡大した理由は明らかになっていない。現在、養殖池では水環境を改善するなどの対策が講じられており、一定の成果も上がっているが、元の生産量に回復するまでには数年を要すると見られる。なお、国連食糧農業機関(FAO)は、EMSの人体への健康リスクはないと発表している。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報