日本大百科全書(ニッポニカ) 「健康リスク」の意味・わかりやすい解説
健康リスク
けんこうりすく
人の健康に生じる障害、またはその発生頻度や重大性のこと。『2004年版厚生労働白書――現代生活を取り巻く健康リスク』によれば、国民が感じる健康リスクは高いものから順に、(1)生活習慣病を引き起こす生活習慣、(2)インフルエンザ、SARS(サーズ)(重症急性呼吸器症候群)、エイズなどの感染症、(3)大気汚染、水質汚濁などの環境汚染、(4)食中毒、BSE(牛海綿状脳症)などの食品汚染、(5)精神病を引き起こすようなストレス、(6)医療事故、(7)花粉症、アトピー、食物アレルギーなどのアレルギー、(8)災害や交通事故などの不慮の事故、となっている。この調査を行った2004年(平成16)以降には、2011年の東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所事故をはじめ、集中豪雨や竜巻などによる自然災害、熱中症、食品テロなど、従来はあまりみられなかったタイプのリスクが日常生活でも顕在化し、国民の意識は高まっている。ただし、健康リスクに対する恐怖心は実際の統計学的に示されたリスクの大きさだけではなく、人の主観にも大きく左右される。また、日常生活でリスクの回避を優先しすぎるあまり、普段の生活や行動の妨げになってしまうゼロリスク症候群といわれるものも現れている。
[編集部]