農事法(読み)のうじほう[こだいローマ](英語表記)Lex Agraria

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「農事法」の意味・わかりやすい解説

農事法[古代ローマ]
のうじほう[こだいローマ]
Lex Agraria

公有地配分に関する法律。古代ローマの共和政期には 40以上が知られ,いずれもくじによる個人,共同体への土地配分が定められている。代表的なものは前 232年ガリアの土地を貧民に配分したフラミニウス法,グラックス兄弟による土地法がある。特に後者土地所有の不均衡による共同体の分解を阻止すべく,公有地先占を1人 500ユゲラに押え,増加没収地を貧民に配分するという画期的なものであったが,反対派によって廃止され,前 111年の土地法によって私的土地所有の進展,すなわち共同体の分解が承認されるにいたった。またネルウァ帝の農事法もグラックスにならい,貧民に皇帝領をくじで配分するものであった。

農事法[フランス]
のうじほう[フランス]
Code rural

農業法典とも呼ばれる。フランス革命期の 1791年9月 28日,農耕地の囲い込みの自由,共同放牧の制限などを定めた法典。ラメルビユの提案による。「フランスの土地はそこに住む人間と同様に自由である」,したがって,「土地所有者は,他人権利を侵さず,法に従うかぎりにおいて,その欲するままに土地の耕作経営を変え,その土地の産物を貯蔵し王国の内外で自由に処分することができる」とされた。共同体的慣習からの自由な近代的土地所有権の確認と契約の自由を求めた法典。

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